access、30年変わらない常識を打ち崩す姿勢 予測不可能なステージ展開した『ELECTRIC NIGHT 2022』豊洲PIT公演レポ

access、常識を打ち崩す姿勢

 浅倉大介(Key)と貴水博之(Vo)によるaccessが、30周年ツアー『ELECTRIC NIGHT 2022』を4月9日よりスタートした。

 アニバーサリーツアーに相応しい新旧の楽曲を、最新鋭の演奏技術&巧みなボーカルで披露する同ツアー。30周年という冠はついているものの、そこには懐古ではなく、常に未来を見つめるaccessの姿があった。リアルサウンドでは、これまでaccessの動向を追い続けてきた音楽ライター 藤井徹貫氏による、5月1日に開催された豊洲PIT公演のレポートをお届けする(編集部)

『ELECTRIC NIGHT 2022』5月1日(日)豊洲PIT公演

 1992年、浅倉大介と貴水博之はaccessとしてデビュー。SNSなど影も形もない時代。取材のたび、彼らはユニット名が意味するところを説明しなければならなかった。そして、インタビュアーや記者は、もれなく「なぜバンドではないのか?」と口をそろえた。たったこれだけのことでも、accessがいかに先進的だったか思い出せる。

 あれから30年。歴史を手に入れた彼らだが、今なお先進的だ。『ELECTRIC NIGHT 2022』がそれを雄弁に物語っていた。ライブの内容を追う前に、『ELECTRIC NIGHT』そのものについて触れておこう。

浅倉大介
浅倉大介

 2010年代、accessは年2回のツアーがルーティーンになっていた。そうした中、浅倉が単独でDJ活動を行う際、各地の小さなクラブを回ったことがきっかけとなり、やがてaccessの春ツアーもライブハウス中心になっていく。2015年から春ツアーは『ELECTRIC NIGHT』という統一タイトルになった。

 もう1点の重要なポイントは、浅倉によるリアルタイムリミックス。一般的なライブでは、事前リハーサルで各楽器の音のバランスをとり、それを基本に本番が行われる。そのため、本番中にドラムの音がいきなり大きくなったり、ボーカルだけ音が小さくなったりすることはありえない。コンサート、リサイタル、ライブ、演奏会に欠かせない、PA(音響)システムが生まれてから、半世紀以上も続いた、その常識を覆したのがDJたちだった。フロアで踊る客とのかけひきで音のバランスを自在に操ることは、DJの腕の見せどころでもある。とはいえ、ライブやコンサートにおいては、21世紀になってからも、その常識は揺るがなかった。それを2010年代に浅倉が崩しにかかった。

 リアルタイムリミックスとは、リハーサルなどで決めた、基準となる音のバランスを本番でいきなりガラッと変え、新たにミックスすること。それを可能にするためには、いくつかの壁があるが、もっとも高いのはボーカリストだろう。クラブDJの場合、基本的にはボーカリストはいない。ただし、accessの場合、生で歌っている貴水博之がいる。安心して歌いたいなら、リアルタイムリミックスのような、1秒先に何が起こるか、音がどのように変化するか予測不可能な状況を拒んでも不思議はない。

貴水博之

 ところが、浅倉の提案を、貴水は二つ返事で受け入れた。自信なのか、器の大きさか、相棒と書いて理解者と読むのか。ライブ中、ときに型破りに、ときにヒートアップし、ときに脱線ギリギリの際を攻めるリアルタイムリミックスに対し、常にぶれない軸の役割を見事に果たす貴水。彼なしに成立しないライブだ。それは『ELECTRIC NIGHT 2022』でも同様だった。

 5月1日、豊洲PITのステージに現れたaccess。曲は「Awake」。オープニングナンバーにふさわしいチョイスだ。次曲へのつなぎはボディソニックなキック。この1音色にも、時代のトレンドが詰まっている。そのキックが鳴り続け、曲は「We’ll」へ。きっとこのキックの音量や、サウンドのバランスは、リアルタイムリミックスによるもの。この瞬間だけの、その場にいないと味わえない快感だ。

 MCで浅倉が言った。意識したのは「30周年ということもあり、なつかしくも新しい、新しくもなつかしいサウンド」だそうだ。有言実行。その言葉のあと、デビューシングル収録曲「Be NUDE」を演奏。メロディと歌詞には、もちろんあの頃の面影が宿る。だが、サウンドは今日的だ。30年前と今を、違和感なく結びつけているのが貴水のボーカル。ことさらオリジナルのボーカルに固執するわけでもないが、ことさら新しいアプローチに偏ることもない。見事なバランス感覚。やはり貴水なくしてリアルタイムリミックスは成立しないと、改めて痛感させられた。



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