Morfonica、朗読劇と共に紡ぐ希望の歌 音楽に込めた思いを具現化したコンセプトライブ『Resonance』レポ

Morfonicaが紡ぐ希望の歌

 4月24日、Morfonica(以下、モニカ)がTOKYO DOME CITY HALLでConcept Live『Resonance』を開催した。通算4度目の単独ライブとなる本公演は、幻想的な無二の表現力を持つモニカの魅力をこれまで以上に色濃く打ち出したコンセプチュアルな内容となっていた。なお、ベース担当の西尾夕香は新型コロナウイルス感染のため残念ながら出演を見送り、進藤あまね(Vo.)、直田姫奈(Gt.)、mika(Dr.)、Ayasa(Vn.)の4人でのパフォーマンスとなった。

「小さな蝶の羽ばたきが嵐を起こす。そんな話を聞いたことがある。そのかすかな羽ばたきが広がり、いずれ世界を変える」

 そんな朗読に導かれるように、最新シングル曲「fly with the night」のshort ver.で幕を開けたライブ。満月と羽ばたく蝶の映像が投影された薄い紗幕越しにモニカメンバーの姿が浮かび上がる。その幻想的で美しい光景は、この日に紡ぎ出される物語の登場人物が彼女たち自身であることを明確に伝えると同時に、観客たちをその世界に一瞬で没入させることとなった。

「これは、とある国の小さな町で暮らす一人の少女の物語。休む暇もなく毎日忙しく動き続ける町で、楽しむことを忘れたその町で、一人の少女が立ち上がる」

 朗読で提示される情景を受けて、その内容をより鮮明にする楽曲がまるで劇伴のように次々と演奏されていく。盤石なバンドアンサンブルと流麗なバイオリンの調べでオーディエンスを柔らかく、かつ力強く包み込んだ「Sonorous」。客席が金色のペンライトの光で溢れた「金色へのプレリュード」。メンバーたちはライブというかけがえのない瞬間を楽しみ尽くすように笑顔を見せながら演奏し、歌を放つ。進藤とAyasaが背中合わせでパフォーマンスをするなど、より息の合った姿を見せていたのが印象的だ。

進藤あまね
進藤あまね

「その町はかつて音楽で栄えた町でした。いたるところから歌声や楽器の音が聞こえていました。人々は音楽が大好きでした。今はもう歌を歌う人は一人もいません。楽器を演奏する人も一人もいません。豊かな暮らしを手に入れた反面、人々の心から音楽を楽しむ余裕が消えてしまったのです」

 そんな音楽がなくなった世界の中で歌手になる夢を持った少女は、現実と理想の狭間で葛藤する。この日が初披露となった「unravel」ではスリリングでハードな演奏とエモーショナルなボーカリゼーションで自らの存在意義を問いかける。続く「深海少女」では諦めそうになる気持ちを乗り越えて立ち上がり、爽やかなサウンドスケープを持った「V.I.P」で理想に向けて飛び立つ決意を明確にする。3編のカバー曲で構成されたこのパートでは、主人公の揺れ動く心情を繊細に伝えてみせた。

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