TOOBOE、ソロから8人編成まで多面的なアプローチで見せた世界観 キネマ倶楽部にて“解禁”された1stワンマン
音楽クリエイターjohnによるソロプロジェクト・TOOBOEが5月3日、東京キネマ倶楽部にて1stワンマンライブ『解禁』を開催した。
開演するとバンドメンバーたちとともに裸足のTOOBOEがステージに登場。青白いライトを浴びながら「視界」を歌い始めた。1stアルバム『千秋楽』の1曲目に収録されているこの曲は、ボーカルのエフェクトが特徴的。TOOBOEの歌声が何層にも分離し、何とも言えない妖しげなムードを醸し出す。キネマ倶楽部のレトロな雰囲気も相まって、異様な空間からライブはスタートした。
次は「だれそかれ」。照明もカラフルに変化し、ここで現場に動きが表れ出した。TOOBOEは歌いながら、バンドの演奏に合わせて体を揺らしたり、舞台を移動したりする。続く「毒」は、アップテンポながらも不思議なサウンドがクセになる一曲。シーンにおけるTOOBOEの異端児っぷりを示す象徴とも言える作品だ。流れるようにして「変」へ。バンドのアンサンブルにTOOBOEのボーカルが見事に調和している。演奏を終えると会場は拍手に包まれた。
「短い時間ではございますが、最後まで楽しんでください」とコメントを挟んで、メジャーデビュー曲「心臓」を披露。TOOBOEの持つある種の狂気性がポップソングとして絶妙に昇華された一曲だ。ここで背後の幕が上がり、スクリーンには擬態するメタがアニメーションを担当したMVも流れた。曲中にはハンドクラップによる煽りも加わり、オーディエンスの熱気も上昇。TOOBOEのボーカルもそれに支えられるようにして、力強いファルセットが響き渡った。
一転して会場が暗くなり、バンドメンバーが一旦捌ける。ステージに一人だけになったTOOBOEは、おもむろに「水泡」を歌い始めた。「視界」と同様にボーカルに独特のエフェクトがかかったこの曲が、厳か、かつエグみのある世界観を演出。深い海に潜るような、ディープな感覚を味わえた。そして「濃霧」「未熟」と続けて歌唱。バックの映像とともに披露されたソロでのパフォーマンスは、曲が進むに連れて深度が増していくようで、見応え十分だった。ソロ歌唱を終えるとバンドメンバー4人が再度登場し、さらにジャズバンド・Calmeraよりホーン隊の3人がゲスト参加。この豪華な編成で披露した「ダーウィン」と「爆弾」が圧巻だった。小気味良いファンク調のリズム隊と、パワフルなブラスセクションとが合わさったことで、オーディエンスの体も自然と動き出す。それまでの世界が精神的だったとするならば、ここでは肉体的な世界が繰り広げられていたと言えるだろう。TOOBOEからも要所でシャウトが飛び出し、会場全体が大きく弾けていた。この2曲は特別に撮影も可能で、観客にとっても貴重な思い出になったはずだ。