BE:FIRST、ライブでこそ伝わる歌唱力 JUNON、MANATO、SHUNTOにフォーカスして考察

 7人全員が変幻自在なBE:FIRSTの中でも表現の幅で群を抜いているのがSHUNTOだ。ポップな曲調の中では人懐っこい表情と明るく突き抜けるような歌声が楽曲を照らすが、ダークで大人な曲調となれば一変、ネオンが映し出す闇の中へ観客を誘うような魅惑的な表情と低音ボイスで聴き手を魅了する。SHUNTOは恐らくBE:FIRSTで最も声域が広いメンバーの1人だが、その二面性が生むギャップは見る人を虜にし、さらに深いところまで彼のパフォーマンスを見たい、知りたいという衝動に駆られる。「Kick Start」のラストサビのように自分の高音域にピッタリとハマった瞬間、弾けるような笑顔で気持ち良さそうに腕を広げて歌う姿。そして、「Move On」や「Betrayal Game」のような攻撃力と妖艶さを包含した低音パートが訪れた瞬間、その世界観をしっかりと自分の領域に落とし込んで我がものにする力。これらは楽曲への理解がなければ為し得ない技だ。

 SHUNTOはMANATO同様、ライブ終盤でも安定した芯のある歌声を響かせ、グループのパフォーマンスクオリティを上げている。BE:FIRSTのメンバーとして名前を呼ばれた際にも言及されたように、SHUNTOが大きな開花をするタイミングは当時まだ来ていなかった。それにも関わらず圧倒的な存在感と表現力、技術力。それらは決して即時性のものでも偶然のものでもなく、再現性を確実に備えた彼の本来の力なのである。また、「Brave Generation」に見られるロックテイストもSHUNTOにかかればお手の物。特にこのサウンドで聴くSHUNTOの声質はまるでエレキギターであり、彼の声そのものがどんな音にも変化できる楽器のようだ。まだ秘められたSHUNTOの真の実力が開花した時、BE:FIRSTの音楽は次のフェーズへ進化を遂げるのではないだろうか。

 今回はJUNON、MANATO、SHUNTOの歌声にフォーカスしたが、BE:FIRSTは異なる背景を持ったメンバー全員が高い歌唱力を誇るモンスター集団だ。初めて彼らの歌を聴いて驚いた人には、ぜひさまざまな動画を見てその多面性に二度驚いて欲しい。

※1 https://youtu.be/qQBEZWjs2OA
※2 2022年4月27日発売 『エル・ジャポン』6月号増刊 p225
※3 https://youtu.be/30lDQin6VfI
※4 2022年4月27日発売 『エル・ジャポン』6月号増刊 p227

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