日向坂46、3周年に立った“約束の彼の地”は新たな出発の場所に メンバー全員とおひさまの思いを連れた悲願の東京ドーム公演

日向坂46、東京ドーム公演レポ

 ライブ後半は日向坂46らしい怒涛の展開で、「君しか勝たん」ではサーカスを彷彿とさせる演出を用意され、一輪車やフラフープ、ジャグリングをする大道芸人を交えつつ、加藤史帆の瞬間移動イリュージョンなどを披露。サーカス小屋モチーフに、2018年の『ひらがなけやき日本武道館3DAYS!!』を思い出したのはきっと筆者だけではないはずだ。その後、「NO WAR in the future 2020」「誰よりも高く跳べ!2020」といった鉄板曲で会場の熱量はさらに上昇。後者のブレイクパートでは、リフトで空高くまで迫り上がった佐々木久美が「東京ドーム、跳べーっ!」と絶叫して、盛り上がりは最高潮に達する。本編ラストナンバー「JOYFUL LOVE」では5万人の客席がペンライトで虹色に染まり、キャプテンの「おひさまの皆さんと出会えたことが、何よりも私たちにとって宝物です。これからも皆さんの作ってくださる虹とともに、歩いていきたいです」に続いてメンバーの衣装が温かい光を発する、おひさまと一体化する演出は感動的ですらあった。

 31日公演は、初日にはなかったサプライズをアンコールに用意。5月11日に7枚目のシングル『僕なんか』がリリースされること、その表題曲を初披露することが告げられたのだ。活動再開した小坂をセンターに据えたこの新曲は、切なさの際立つミディアムナンバー。「君しか勝たん」の幸福感、「ってか」の力強さとも異なる、繊細な表現力が求められる楽曲だ。初披露の時点ですでに高い完成度を誇っていたが、この先パフォーマンスを重ねることでより深みが増す、そんなターニングポイントの1曲になりそうだ。そして、アンコールは「日向坂」で一旦終了を迎える。

 最終日ならではのダブルアンコールでは、佐々木久美が「やっぱり東京ドームって特別な場所で、すごく楽しみにしていたんですけど、でもやっぱりうまくいかないなっていうこともすごくあって」とここまでの道のりを振り返る。そして、「ひらがなけやきの頃から大事にしていることは、まだ私たちの心の中にあって、成長した部分もあるし変わらない部分もあると思います」「まだまだ私たちは3年目で、これから叶えたいことも行きたいところもいっぱいあるし、“約束の彼の地”と歌い始めたときはここがゴールかなと思ったけど、今日ここがまた新たな出発の場所となりました。ここからまた新しい場所を目指して、皆さんと一緒に夢を叶えていきたいと思います」と宣言。最後はメンバー全員で「約束の卵」を笑顔で歌いきり、3時間におよぶ夢のようなひとときは幕を下ろした。

 グループにとって大きな区切りとなった今回の東京ドーム2DAYS公演。もちろん濱岸を含めたフルメンバーで再び同会場でライブを行なってほしいし、さらに大きな会場での公演や大規模ツアーなども叶えてほしい。しかし、それ以上にメンバー全員ーー卒業したメンバーを含めーーがみな健康で、それぞれが楽しく活動を続けられたら最高ではないだろうか。きっと彼女たちの中には、今も忘れない日向坂46イズム、けやき坂46イズムが強く刻まれているはずだから。

日向坂46

■セットリスト
日向坂46『3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~』
2022年3月31日(木)東京ドーム
00. Overture
01. キュン
02. ドレミソラシド
03. おいで夏の境界線
04. キツネ
05. ハッピーオーラ
06. 窓を開けなくても
07. こんなに好きになっちゃっていいの?
08. 抱きしめてやる
09. こんな整列を誰がさせるのか?
10. My god
11. Dash&Rush
12. 未熟な怒り
13. この夏をジャムにしよう
14. Right?
15. それでも歩いてる
16. アザトカワイイ
17. ソンナコトナイヨ
18. 期待していない自分
19. 君しか勝たん
20. 永遠の白線
21. 半分の記憶
22. ってか
23. NO WAR in the future 2020
24. 誰よりも高く跳べ!2020
25. JOYFUL LOVE
<アンコール>
26. 僕なんか
27. 日向坂
<ダブルアンコール>
28. 約束の卵

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