ALI、圧巻のグルーヴで生み出した熱狂 木村昴、R-指定、KAZUOなど盟友との共演も目白押しなツアーファイナルに
ここでLeoが木村昴を呼び込む。彼と一緒に披露するのは、もちろん「Whole Lotta Love」だ。木村の繰り出すエモーショナルなラップに、Leoも感情を溢れさせたような歌で応える。彼らの友情や絆が、この曲をますます特別なものにしていく。木村は「音楽最高だよな! これも愛だよ!」とフロアに叫ぶ。2人が肩を組んで歌う姿には、なんだか込み上げるものがあった……ところで、実はこの曲、予定ではもう1曲あとにやるはずだった。Leoがうっかりセットリストを間違えたのだ。そのことに気づいて焦るLeoと、その様子を見て大笑いするメンバーと木村。とっさに対応するバンドメンバーやミュージシャンも見事だし、いきなり名前を呼ばれたにも関わらずそれをまったく感じさせないパフォーマンスを見せた木村も見事。こういうイレギュラーが起きた瞬間にこそ、バンドの魅力も底力も見える。とても貴重なシーンだったと思う。
というわけで、本当は「Whole Lotta Love」の前にやるはずだった「Wild Side」をここで投下。KAZUOのアジテーションにフロアはもはや沸騰状態だ。そして「VIM」から、Leoも敬愛するクエンティン・タランティーノの大傑作『パルプ・フィクション』のテーマとしても知られるサーフロック・クラシック「Misirlou」へとつなぐロックンロールな流れではCÉSARが渋いプレイを見せ、いよいよライブはクライマックスへ。R-指定がステージに戻ってきて披露されたのは「TEENAGE CITY RIOT」だ。真っ赤なライトがステージを照らし出す中、R-指定にしかできないスキルフルで感情的なフロウを撃ちまくる。Leoも、渾身のボーカルでそれを迎え撃つ。歌い終えて、互いの健闘を讃えるようにハグする2人。まるでボクシングの試合後のセレモニーを見ているようだった。
KAZUOとともに繰り出した「FIGHT DUB CLUB」から、2トーンのリズムにCÉSARとLUTHFIも楽しげにステップを踏んだMadnessのカバー「One Step Beyond」を経て、最後はGOMESSを呼び込んで、ALIにとって大きなターニングポイントとなった1曲「LOST IN PARADISE」へ。ドラム、ベース、ギター、そしてキーボードにパーカッションにコーラス、ホーン。もちろんLeoの歌も含めて、全員が全力を絞り切るようなパフォーマンスを終え、みんな満足げな表情を浮かべてステージから去っていった。
アンコールではリラックスした表情で「Funky Nassau」を披露。スタンドマイクの前で「どうだ」とばかりに腕を広げるLeoの顔は誇らしげだ。「またライブで遊ぼうぜ!」。そんな決め台詞も、心なしか堂々として見えた。いろいろあったが、彼らは音楽を信じ、音楽も彼らを裏切らなかった。この日ステージで体現されたミュージシャン同士の友情や共鳴、そして最初から最後まで一度もギアを落とすことなく駆け抜けたALIのパフォーマンス自体が、そのことを証明していた。素晴らしい空気に包まれた、最高のライブだった。