まだ誰も知らないChilli Beans.の内面性 最新EP『Daydream』に刻まれたバンドの原点

Chilli Beans.、最新EPに込められた原点

 2021年8月にリリースした1stデジタルEP『d a n c i n g  a l o n e』に続く2作目のEPにして2022年最初の作品となる、Chilli Beans.の2ndデジタルEP『Daydream』。「白昼夢」を意味するタイトルがつけられたこの作品には、誰もまだ見たことのないチリビの姿が刻まれている。バンドの最初期に作られ、Maika(Ba/Vo)が心情を綴った「Tremolo」、そしてLily(Gt/Vo)が自身の中にある情熱と妄想を爆発させたという「Vacance」。完全にセルフアレンジのみで作られた新曲2曲は、どちらもすごくまっすぐに彼女たち自身の内面を表現していて、そこがとても人間らしくていい。

 プレーヤーとしてのスキルや音楽に対するセンスの高さがことに語られるチリビだが(そしてそれはもちろん彼女たちの大きな武器だが)、そもそもなぜ彼女たちはこのバンドを結成したのか、そこに何を懸けたのか、そんな物語も、これから少しずつ明らかになっていくのかもしれない。そんな予感を感じさせる作品だ。3月に東京と大阪で開催される初の自主企画『Dancing Room 001』も見事ソールドアウト、ますます注目度を高め続ける3人に話を聞いた。(小川智宏)【最終ページに読者プレゼントあり】

(「Tremolo」は)「また違うChilli Beans.の顔が見られる作品」(Moto)

Chilli Beans.

ーー新しいEP『Daydream』、特に収録されている「Tremolo」と「Vacance」という2つの新曲については個人的にこれまで以上の手応えを感じたんですけれども。ご自身たちとしてはいかがですか?

Maika:作った段階でも「この曲めっちゃいいじゃん」って話していた楽曲たちなので。手応えはあったと思います。

Moto:うん、手応えありましたね。また違うChilli Beans.の顔が見られる作品なんじゃないかなって。

Lily:「Vacance」とか、編曲をしていても「こういうのを作ってみたかったな」っていうものが散りばめられた曲になったので、それがすごく良かったなって思いますね。

ーーまず1曲目の「Tremolo」について伺いたいんですが、これはいつごろできた曲なんですか?

Maika:これ、めっちゃ初期ですね。

Lily:いつだっけ?

Maika:まだDTMの操作もままならない時期にできた曲だったので、たぶん2019年の後半とか2020年の頭とかにできた曲です。

ーーそのときから「これはいい曲だ」という感じはありました?

Maika:ありました。ライブでも、1回目のライブからずっとやり続けている曲なんですよ。

Lily:うん、気に入って、ずっとやってきましたね。

ーーアレンジもすごく味があって、かっこいいファンク/ディスコチューンになっているんですけど、どういうふうに生まれてきた曲だったんですか?

Maika:一番初めに、音楽塾ヴォイスが持ってる小さなホームスタジオみたいなところでサビができたんですけど、その時は本当にお遊びみたいな感じで、DTMのコードの打ち込み方をVaundyに教えてもらっていたんです。そのときに打ち込んだコードにその場で浮かんだメロディを入れたっていうところから始まって。その日はそこで終わったんですけど、なぜか時間が経ってもずっとそのサビメロが頭に残っていて、かつ、他のメロディもどんどん出てきたので、バーッと作っていきました。で、「ここにラップとか入れたらもっと盛り上がるんじゃない?」とか言ってラップもぶち込んで(笑)。そうやってできあがっていきました。

Moto

ーーこのラップ、かなりいいよね(笑)。それも含めて遊びの延長っていう感じだったんですね。

Maika:そうですね。やってみたいことを詰め込んだ感じでした。

Moto:でもこの曲、当時と今で私の中での印象変わっていて。作ったときはわりと切ない思いを歌った曲だなって思っていたんですけど、最近は「もう来ちゃいなよ! 楽しんじゃいなよ!」みたいな。ライブでもそういう感じなんです。そうやって楽曲のイメージもライブで演奏することによって、変わってくることがあるんだなって思ったりしてます。

ーー1曲の中で目がいくところが変わってきたという感じなんですかね。Lilyさんはどうですか?

Lily:編曲に初めてちゃんと挑戦したのがこの曲だったので。どんな雰囲気にしようかとかも考えてましたね。ライブでやっても楽しくて、そういう部分はずっと変わらないですね。

ーー音楽的にはどういうものを作りたいとイメージしていたんですか?

Maika:最初はピアノのコードの打ち込みしかなかったんですけど、このサビのメロディが出てきて、この歌詞を埋め込んでみて、もっと楽しい雰囲気、踊れる雰囲気の楽曲にしたいなって思って。それで思いっきりディスコとかファンクとか、80〜90年代ぐらいのサウンドを参考にして、踊れる楽曲にしていきました。

Lily:めっちゃ時間かかったよね。

Maika:アレンジを授業で聴いてもらったら、先生にいろいろ言われたりして(笑)。

Lily:「これはいらないんじゃない?」とか「これ、普通じゃない?」って。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる