The 1975、『サマソニ』初ヘッドライナーに寄せる期待と興奮 新章へ繋がる沈黙の2年を振り返る

 The 1975がついに動き出した。日本時間2月15日正午、今年8月に開催予定の『SUMMER SONIC 2022』(以下『サマソニ』)の第一弾アーティストが発表され、同フェスのヘッドライナーの1組としてThe 1975がスロットされたのだ。本来ならば2020年に行われる予定であった『SUPERSONIC』にてトリを飾るはずであったが、新型コロナウイルスの影響もあり同フェスが延期に。紆余曲折を経て、2019年の『サマソニ』以来となる来日、そしてバンドとして日本のフェス初のヘッドライナーという大舞台に多くのリスナーが興奮していることだろう。

SUMMERSONIC 2022 1st Line up Announcement

 実はこの『サマソニ』出演のアナウンス、日本のファンだけでなく世界中のリスナーからも反響が寄せられた。その理由は、この約2年間バンドがほぼ沈黙していたこと、かつ『サマソニ』発表の前日にThe 1975の公式サイトとソーシャルメディアなどがリセットされたこともあり、近く何か発表されるのではないかと期待されていたためだ。現在、公式サイトにアクセスすると『サマソニ』出演を伝えるポスターのみが掲載されているが、逆に言えばそれ以外の情報は以前わからないままだ。コロナ禍に突入したことで多くのアーティストらがツアーをキャンセル、またステイホームを余儀なくされた中で、The 1975は一体何を企んでいたのだろうか。

 コロナの影響が徐々に世界を侵食し始めた2020年初頭から春にかけて、長期にわたる世界ツアーの最中だったThe 1975。現時点で彼らが最後にライブを行ったのは、2020年3月3日のアイルランドはダブリンでの公演。その後はツアー全てを延期、またはキャンセル、さらには各国のフェスのラインアップからも姿を消している。身動きの取れない中、2020年5月には4thアルバム『Notes On A Conditional Form』をリリース。先行配信されていたシングル曲「People」「If You’re Too Shy (Let Me Know)」などはコロナ前のライブでも披露されていたが、同アルバムの収録曲の多くは未だパフォーマンスされていない状況だ。

The 1975 - People (Reading + Leeds 2019)

 『Notes On A Conditional Form』は、ツアーと並行して制作されながら、結果コロナ禍にリリースされたことで様々な見方/聴き方ができるアルバムとなった。全22曲というボリューム、エモやフォーク、UKガラージ、ゴスペルなどありとあらゆるジャンルと要素が詰め込まれた内容は、良くも悪くもその時のThe 1975を見事に体現していたように思う。行く末の見えない状況で、膨大な情報を整理しきれないままパッケージしたアルバムは、どこかコロナ禍の世界を予期していたかのようだ。

 バンドはアルバムのプロモーションをリモートで行いつつも、それが一段落すると沈黙。この間、The 1975の前身であるDrive Like I Doに関する情報が度々話題となった。一時は『Scary Monsters』と題したEPも配信されたが、しばらくすると削除されるなど改めてその動向は不明だ。ちなみに、マシュー・ヒーリー(Vo/Gt)はDrive Like I Doの制作に取り組んでいることを公言しており、今後正式なアナウンスも期待したいところだ。

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