XGはガールクラッシュの本命? 最新ダンス&カバー動画から紐解く、集団/個々による刺激的なパフォーマンス力
2022年1月下旬、とても気になるグループが突如として現れた。名前は“XG”。何の前触れもなく公式SNSが立ち上がり、トレーニング風景を手始めに各メンバーのダンスや歌を収めた動画を次々と公開。登場してから半月ほどしか経っていないにもかかわらず、高度なスキルとビジュアルの良さで観る者を圧倒し続けている。どうやら女性7人組のようだが、さらに詳しい情報は現段階では見当たらない。そこで本コラムでは、YouTubeで日々アップされる動画を手掛かりにベールに包まれたグループの魅力に迫ろうと思う。
ストリートギャング風のファッションに身を包み、集団でダンスパフォーマンスを披露したのは1月26日のこと。韓国では刃群舞(カルグンム)という表現があり、1ミリのズレも許されないほどキレのいいダンスを指すが、XGもその水準を軽々とクリアしているようだ。とはいえ、国籍を特定できる要素は一切なく、映像全体はあくまでもアジア系のムードを貫いているのが興味深い。
1月29日からは各メンバーの名前とダンス映像が連続で紹介された。JURINは軽やかなステップを刻み、ストリート感のあるノリの良さを強調。続くCHISAはたおやかな動作で曲が持つメッセージを的確に表現し、COCONAはユニークなフリースタイルから一変したエッジの効いたヒップホップダンスで他にはないキャラクターを主張する。
HINATAは繊細な手の動きと表情の豊かさでダンスの可能性を追求。MAYAはガールクラッシュ(女性が憧れる女性)的なイメージを感情のおもむくままに表現しているところに才能の豊かさを見出せる。JURIAはセクシーと気品を兼ね備えた動きが目を引き、HARVEYは昔懐かしいグラウンドビートに乗って、エキゾチックな魅力を発散。
以上のように7人のメンバーのダンスはスタイルの違いが明確に現れており、それだけで相当インパクトのあるグループであることがわかる。ではボーカル面ではどうなのか気になるところだが、2月上旬に興味深い動画が公開された。
まずアップされたのはJURINとHARVEYによるラップカバーで、タイトルは「XG - Rap Performance (Chill Bill Remix)」。オリジナルはロブ・ストーンの「Chill Bill ft. J.Davis & Spook」。原曲のビートにオリジナルの歌詞を乗せる通称“ビートジャック”形式のパフォーマンスである。混沌とした時代を自らの力で切り開いていくかのごとく力強く生命力のあるフロウを響かせるふたり。メッセージをしっかり伝えようとする仕草や表情から、日頃からヒップホップやストリートカルチャーに本格的にコミットしているのがうかがえる。