ときのそら、確かなパフォーマンスで魅せた3年ぶり有観客ライブ カバー曲から垣間見える多彩なアイドル性

ときのそら、3年ぶり有観客ライブ

 以降は様々なカバー曲を披露。「グッバイ宣言」(Chinozo)や、「これからも一緒に歩いていこうね!」と言ってファンへの気持ちを伝えたHoneyWorks作詞作曲による「ファンサ」(mona/CV:夏川椎菜)を歌うと、その後、一瞬でステージチェンジが行われ、「TOKINOSORA」というアルファベットやキューブをあしらった近未来的なステージが登場。オリジナル曲「冴えない自分にラブソングを」を挟んで、「シル・ヴ・プレジデント」(P丸様。)、『Re:Play』にも収録された「この世界で」(家入レオ)、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』(TOKYO MXほか)劇中歌「God knows…」を披露した。

 様々なカバー曲を披露するライブだからこそ、オリジナル曲も際立って聴こえてくる。中でも印象的だったのは、背後のスクリーンに歌詞やイラストが映される新たなステージと私服衣装に切り替わり、スタンドマイクの前で歌い上げた終盤の「花時の空(はなどきのそら)」。この曲は2018年1月に路地裏ロジックが彼女のイメージソングとして制作した「木の芽時の空(このめどきのそら)」のアンサーソングで、時を経て2021年の誕生日記念グッズCD『くもはれ』にときのそら歌唱版のフル音源が収録された。しっとりしたバラード曲に乗せて〈ずっとずっとありがとう〉と感謝を伝えつつ、〈止まらないよ 一緒に歩いていこう〉と未来への気持ちも歌った歌詞に、観客が「止まるんじゃねえぞ……」とお馴染みのコメントで返す様子も印象的だった。

 原曲とは異なるバラードにアレンジが変更された『Re:play』バージョンの「赤いスイートピー」(松田聖子)を披露すると、MCを挟んで、映画『時をかける少女』主題歌の「ガーネット」(奥華子)、観客に手を振りながら歌った「ひまわりの約束」(秦 基博)などを披露し、「ありがとうございました!」と一礼して本編が終了。アンコールでは再び最初のステージへと戻り、2019年の1stアルバム『Dreaming!』に収録されていた力強く未来への気持ちを歌う楽曲「ヒロイック・ヒロイン」と「KumoHurray!」を歌い、「またねー!」と明るい雰囲気でライブを終えた。

 彼女にとってカバー曲とは、VTuberのアイドル像を切り拓いていくような雰囲気だった活動初期から、現在まで続けてきた活動のひとつであり、年々増えていった自身のオリジナル曲と同様に、アイドル・ときのそらの魅力を多くのリスナーに伝えてきたものでもある。5周年イヤーとなるこのタイミングで、様々なアーティストの楽曲を「Role:Play」することで、現在のボーカリスト・ときのそらの多彩な魅力が伝わってくるようなライブだった。

【昼公演セットリスト】
01.太陽系デスコ
02.HOT LIMIT
03.まっさらブルージーンズ
04.ロマンスの神様
05.グッバイ宣言
06.ファンサ
07.冴えない自分にラブソングを
08.シル・ヴ・プレジデント
09.この世界で
10.God knows...
11.花時の空(はなどきのそら)
12.赤いスイートピー
13.ガーネット
14.ひまわりの約束
EN1.ヒロイック・ヒロイン
EN2.KumoHurray!

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