The Beatles、“ルーフトップ・コンサート”がIMAXで蘇る 映像に収められたファンタジックな新伝説の全貌

The Beatles“ルーフトップ・コンサート”の全貌

 昨年11月、Disney+で配信され大騒ぎとなった『ザ・ビートルズ:Get Back』。同作はThe Beatles最後期の映画『レット・イット・ビー』用に撮られていたフィルムを元に、ピーター・ジャクソン監督を筆頭に多くのスタッフが4年間にわたり最新技術を駆使して磨き上げた映像で、バンド崩壊の様子を捉えたものとして知られる『レット・イット・ビー』とはまったく違ったものとなり、世界中のファンを驚かせた。

 素晴らしい画質・音質に接すると、誰もが劇場の大スクリーンで体験したいと思うものだが、そんなファンの希望がついに叶う時がきた。

 『ザ・ビートルズ:Get Back』のハイライトである最後のライブシーンが、『ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート』として2月9日~13日までの5日間、IMAX限定で公開されるのだ。巨大なスクリーンに映し出されるThe Beatlesのラストライブ、これはもう事件だ。

『ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート』|予告編|Disney+ (ディズニープラス)

 真冬のロンドン、映画スタジオに集まったThe Beatlesの4人は、新作アルバムのレコーディング風景をドキュメンタリーで撮り、最後にどこか象徴的な場所でライブを行うという計画を1969年1月から進めており、その模様を収めたのが『レット・イット・ビー』だった。だが、出来上がった映画は、メンバーたちのスタジオでの寒々としたやりとり、ぶつかり合う主張、進捗しないレコーディングなど負の面が目につくものとなっていた。

 もともと16mmカメラで撮られたものを35mmに引き伸ばしたため、粗く暗い映像がバンドの崩壊風景とも重なり、ファンにとっては辛い一作でもあった。その中で唯一の救いとも言えたのが、ロンドンはサヴィル・ロウにあるアップル社の屋上で展開された、通称“ルーフトップ・コンサート”である。

 The Beatlesは1966年8月29日にサンフランシスコで開催したライブを最後に、約2年半、人前でパフォーマンスを行っていなかった。そんなことが信じられないほど力のこもったパフォーマンスが『レット・イット・ビー』の見どころでもあったのだが、その印象をさらに大きく上書きしたのが今回の『ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート』なのだ。

 AIをも駆使し、様々な最新技術によって蘇った3部作、約8時間におよぶ映像は明るく鮮明で、新作に向かってアイデアを出し合ったり新しいファミリー(オノ・ヨーコ、リンダ・イーストマン)との微笑ましい様子なども映し出されている『ザ・ビートルズ:Get Back』。なかでも印象深いのは、意見の相違や衝突、皮肉のやり取りがあるにしても、基本的にはリバプール時代から変わらないフレンドリーなメンバーたちの関係で、作品作りに関しても前向きな姿を見ることができる。

 特にレコーディングの場が映画スタジオからアップル社の地下に設けた自前のスタジオへと移り、下積み時代からの友人であるビリー・プレストンをサポートに迎えたあたりから、まるでマジックが起こったかのようにバンドアンサンブルが向上。そしてついに1969年1月30日、一切のブランクを感じさせない素晴らしい演奏を聴かせたのだった。

 レコーディングスタジオとはまったく違った環境である、寒風吹くロンドンのビルの屋上。どれほど寒く、また満足のいく演奏が可能なのか、想像しただけで恐ろしくなるが、数年間に渡ってリバプールやドイツのハンブルクなどでの過酷な条件下で鍛えられてきたメンバーたちは、その底力を見せる。

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