YOASOBI、Aimerらの名曲をカバー、新チャンネル「AFTER HOURS」の面白さ メンバー&アレンジャーの言葉から紐解く

新チャンネル「AFTER HOURS」の面白さ

 2022年に入って間もなくYouTubeにて始動したバンドセッションチャンネル「AFTER HOURS」。“放課後は続いている”というコンセプトで、最新ヒット曲から往年の名曲まで、多くの人々に愛され続けている様々な楽曲をロックテイストにアレンジし、再び世に送り出すという、新たなプロジェクトである。アレンジされた作品は、メインとなるバンドとボーカルによるセッション映像に加え、ギター、ベース、ドラムと各パートにクローズアップしたソロ映像や、アレンジをよりダイレクトに楽しめるインスト音源映像など、1曲ごとに6種類の映像が配信される。視聴者は、これらの映像を通して様々な視点から楽曲を楽しめる。

 第一弾、第二弾はUNCHAINがアレンジャーを務めたYOASOBI「夜に駆ける」、yama「春を告げる」。第三弾、第四弾としてKEYTALK、Alaska Jamの小野武正がアレンジャーを務めたAimer「カタオモイ」、菅田将暉「虹」が公開となった。バンドメンバーは、アヤコノ(Ba)、なきごとの岡田安未(Gt)、かねこなつき(Dr)と、Z世代を代表する女性ミュージシャンが揃っている。ここに楽曲ごとのゲストボーカルが加わり、このプロジェクトでしか聴けない音楽を奏でる。そうそうたる顔ぶれが集結した「AFTER HOURS」だが、セッションに参加したバンドメンバーやアレンジャーは、このプロジェクトにどのような思いを抱いているのだろうか。本稿では、メンバーとアレンジャーへのメールインタビューを交えて、プロジェクトについて紹介したい。

アヤコノ(Ba)、岡田安未(Gt)、かねこなつき(Dr)
アヤコノ(Ba)、岡田安未(Gt)、かねこなつき(Dr)

 バンドのベースを担当するのは、2004年生まれのアヤコノ。NHK Eテレの音楽教育番組『ムジカ・ピッコリーノ』にレギュラー出演し、「東京2020パラリンピック開会式」での布袋寅泰らとの共演や、『Love Bass Expo 2021』での亀田誠治らとの共演などが注目を集めている若きホープである。自身もカバー動画から活動を始めたというアヤコノは、このプロジェクトで新たな刺激を受けたようだ。

【ベースソロ / アヤコノ】AFTER HOURS – 夜に駆ける (YOASOBI)

「初めてバンドメンバーでセッションしたとき、3人って意外と少ないと気づきました。バンドで活動していた時は4人だったし、『ムジカ・ピッコリーノ』では6人。3人は初めてだったので新鮮でした。楽曲については、UNCHAINさんのアレンジはめちゃくちゃ難しいけど、素敵なこだわりの詰まったデモを聴きこんで、再現できるよう意識しました。小野さんのアレンジは、元々好きなKEYTALKさんのサウンド感でデモが来たのでテンション上がりましたね。映像面に関しては、三者三様のパフォーマンスを楽しんでほしいです。映像を、音楽を、そして映像+音楽を、それぞれ楽しんでもらいたいです。私は、演奏することとパフォーマンスで魅せることのセットが好きなので、この動画は見ていて自分でも楽しいです。音楽・パフォーマンスを通して、見てくれた人が何か背中を押されたり、エネルギーをもらえたりするようなプレイをしていきたいです」

 ギターを担当するのは、2人組ロックバンド・なきごとの岡田安未。結成して間もなくmurffin discs主催のオーディションで準グランプリを獲得し、業界の話題をさらった。サポートギタリストとしても活躍する岡田は、「AFTER HOURS」のコンセプトに強く心を動かされたと語る。

【ギターソロ / 岡田 安未 (なきごと)】AFTER HOURS – 夜に駆ける (YOASOBI)

「音楽を通じて色々な人の青春を思い出せるし、名曲を新たな面からアプローチすることで、本家とは違った印象を与えることができる。様々な角度から幅広い世代に楽しんでもらえるコンテンツだと思います。勉強から解放されて好きなことに打ち込める“放課後”という、一番色濃く残る思い出をコンセプトにするのは、ずるい大人だなぁと思います。大人になってしまった今、このプロジェクトを企画してくれた方とお酒を酌み交わしたいです。そして私も、音楽をすることで味わうことの出来なかった青春を味わいたい。初めて『AFTER HOURS』としての完成形を聴いたのは『夜に駆ける』でしたが、アレンジ・コンセプトによってこんなにも変わるのか、と驚きました。私はジャズコードに初めて触れたので、UNCHAINさんアレンジの曲は、コードワークにとても苦労しましたね。小野さんのアレンジは速いテンポ感を意識しています。普段KEYTALKさんではこういうギターアプローチをしながらライブをしているのか、と勉強になりました」

 ドラムを担当するのは、14歳からドラムを始めたというかねこなつき。ももいろクローバーZ・高城れにのソロコンサートのバックバンドをはじめ、サポートドラマーやドラムデモンストレーターとして、国内外問わず幅広い分野で活躍している。 愛嬌たっぷりのキャラクターで多くのリスナーに愛されているかねこは、このプロジェクトを通して、自身が目標とするアーティスト像に近づけたようだ。

【ドラムソロ / かねこなつき】AFTER HOURS – 夜に駆ける (YOASOBI)

「UNCHAINさんのアレンジがオシャレで、自分にないアプローチが多かったので勉強になりました。アレンジの雰囲気を壊さないようにしつつ、自身のドラムプレイも活かせるよう、試行錯誤を重ねていく過程が楽しかったです。(小野)武正さんのアレンジは、爽やかなギターロックだったので、疾走感のあるグルーヴを出せるよう意識して叩きました。私は、たくさんの方に笑顔を届けたいという思いでドラムを叩いているので、『イベントがあるから、動画が公開されるから、今日の仕事も頑張れる!』とか『落ち込んでいたけどドラムを叩く姿を見てたら元気が出てきた!』というファンの声がすごく嬉しいです。これからも、より多くの方に笑顔をお届けするために、技術や知名度を上げたいです。そして、ドラムに興味を持つきっかけを作れたら嬉しいです」

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