NiziU、“届ける”ために成長してきた真摯な姿勢 『紅白』『レコ大』でも期待したい隙のないパフォーマンス力
そんなNiziUをさらに成長させたのが、J.Y. Parkが作詞・作曲した渾身の新曲「Chopstick」だろう。同曲はピアノ曲「The Celebrated Chop Waltz」をサンプリングしたユニークなナンバー。オーケストラサウンドのイントロが流れたと思えば、ヒップホップテイストのメロディに変わり独特の浮遊感に自然と身体が動く楽曲だ。モノトーンからカラフルへ場面ごとにテイストが様変わりするMVが物語るように、かっこよかったり可愛かったりコミカルだったり、メンバーは1曲の中に自分たちの持つ魅力をすべて詰め込んだ。
そして、どこを切り取っても一つとして同じではない表情を見せる「Chopstick」を完成させた自信が他のパフォーマンスにも影響を及ぼしているように思う。第2回で披露したデビューシングル曲「Step and a step」も1年前より遥かにダンスや歌が安定し、適度に力を抜いてパフォーマンスできているように感じた。それに伴い曲が持つエレガントなイメージが前面に押し出され、洗練された麗しさが際立つ。続く第3回では、『Nizi Project』のファイナルステージでMAKO、RIO、AYAKA以外の6人が披露した「Boom Boom Boom」を全員で初パフォーマンス。「Step and a step」とは打って変わり、NiziUのイメージをガラリと覆すガールクラッシュな1曲だ。メンバーのクールな表情や、9人の動きが揃った大迫力のダンスブレイクが心を鷲掴みにする。
また閉園後のユニバーサル・スタジオ・ジャパンで撮影された「Take a picture」の最新パフォーマンスでは人気キャラクターたちと共に踊り、パレードのような高揚感に溢れていた。もちろん目の前にはカメラが並ぶだけで観客は不在。それでもこれまで2回の有観客ライブを通し、たくさんのファンが自分たちを応援してくれているということを知ったNiziUのパフォーマンスには一切の隙がない。一人ひとりの目には常に観客の姿が映り、楽曲の持つイメージを最大限に活かした圧巻のステージを届けているのだろう。虹色に輝く個性を発揮することだけにとどまらず、何色にも染まれる順応性の高さを見せつけたのが2021年だった。その集大成となる『第63回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)や『第72回NHK紅白歌合戦』でのパフォーマンスをお楽しみに。