古川毅、2021年に衝撃を受けたアーティストを語りまくる ポップミュージックの未来を感じる4組

スパドラ古川毅『カタリタガリ』第8回

■Silk Sonic

 この連載の3回目でもとりあげた、ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるプロジェクト。今回あらためて話そうと思った理由はすごくシンプルで、今年もっとも繰り返し聴いた作品が、彼らの3月にリリースした先行シングル「Leave The Door Open」に始まり、11月にリリースしたアルバム『An Evening With Silk Sonic』だったからです。

 簡単に言えば、70年代のソウルやファンクにアプローチし、生演奏にこだわって当時の質感やグルーヴを追求したスタイル。そこには、当時のことを知らない00年代生まれの僕でもどこか懐かしいと感じる、受け継がれてきた香りのようなものがあります。先天的に落ち着くみたいな。しかしそれだけではなく、「これが今なんだ」というパワーも感じられるところがすごいんです。だからこそ、ビンテージミュージックを掘り下げたくなって、スティービー・ワンダーやレイ・チャールズ、ほかにもいろいろ、60年代や70年代に偉人たちが残した作品を聴いているところです。

 そして僕はグループのボーカリストなので、その視点からもすごく刺激をもらっています。圧倒的な歌唱力を誇るブルーノ・マーズと、ちょっとやんちゃな兄ちゃん感があって愛おしくなるアンダーソン・パーク(彼も上手いんですけどね)、二人のキャラクターのバランスがたまらない。“ミクスチャー”や“クロスオーバー”といったワードが飛び交う時代を生きてきた僕にとって、音楽性も衣装もシンプルに70年代オマージュを貫くことで2021年のエンターテインメントとして力強く立ち、聴く人を魅了するパフォーマンス力は、新しい発見でした。

After Last Night - Silk Sonic [Official Music Video]

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