リーガルリリー、崎山蒼志とPeople In The Box迎えた恒例自主企画『cell,core』 地元の思い出やファンへの感謝も
リーガルリリーが12月10日に、自主企画『cell,core』を地元立川にある立川ステージガーデンにて開催した。この日はたかはしほのか(Vo/Gt)の誕生日であり、彼女たちは同日に3年連続でワンマンライブを行ってきたが、今年はゲストに崎山蒼志とPeople In The Boxを迎えてのスリーマンイベントとなった。
「さあさあさあさあ!」とサディスティック・ミカ・バンド「よろしくどうぞ」がSEとして流れる。崎山蒼志がステージに姿を現し、スポットライトに照らされながら「国」を歌い、この日の公演がスタートした。立て続けに柔らかい曲名とは裏腹に音数の多いパワフルなギターサウンドのナンバー「ソフト」をプレイし、持ち味の歌声とキレのあるギターカッティングで、リスナーの視線を釘付けにする。リーガルリリーは大好きなバンドであることと、たかはしの誕生日を祝うメッセージをMCで述べ、未来の希望を描いた「嘘じゃない」、ギターを置いてハンドマイクで歌う「waterfall in me」を続けてドロップ。螺旋を意味する新曲「Helix」が、ロックバンドに負けないくらいの力強さで演奏されたのもかなり印象的だった。主催バンドであるリーガルリリーのファンの中には崎山蒼志のライブを初めて観たという人もいたと思うが、崎山蒼志という新しい音楽ジャンルに胸を打たれたことだろう。そのほか「Samidare」や「夏至」などを含む全8曲を歌い、強烈なインパクトを残して崎山蒼志はステージを後にした。
2番手はたかはしがリスペクトするというPeople In The Box。彼らのステージは「かみさま」で幕を開けた。言葉の一つひとつを会場の隅々まで届ける歌声と、低音を確実に支えるベース、リズミカルなドラムがよく絡み合う。突発的な盛り上がりは見せないが、じっくりと、だが着実に会場の温度を上げていく体感がしっかりとあった。「ミネルヴァ」を挟んだ後の「無限会社」ではアグレッシブなバンドサウンドが炸裂。さらに、歪ませたギターや細かく刻まれるベースが妖艶さをもたらす「聖者たち」や、重たいバスドラのサウンドが印象的な「懐胎した犬のブルース」が奏でられた。MCでは山口大吾(Dr)によるテンションの高いMCで、立川に来ることが4回目であることや、残りわずかとなった持ち時間を惜しむ言葉が告げられ、ラストは目まぐるしい転調でリスナーを翻弄する「旧市街」で締めくくった。
本イベントの主催者であるリーガルリリーが登場。骨太なベースが鳴らされ、「1997」が奏でられる。たかはしの誕生日に彼女の生まれ年をタイトルに冠したこの曲を聴けるのは、なんともエモーショナルで、これまでのリーガルリリーの軌跡に思いを馳せながら聴き入っていた。間髪入れずにアッパーな「東京」、轟音に乗せて退廃的な歌詞が放たれる「地獄」をドロップ。たかはしが挨拶と来場の感謝を延べ、「立川の病院は私が産み落とされた場所」と地元ならではのエピソードや、こんな大きい会場で対バンライブを主催するのは初めてであること、ゲストは自分たちの好きなアーティストたちを呼んだことを話してくれた。
MC明けに披露されたのは、秋にリリースされた新曲「アルケミラ」だ。MCでは少女のような可愛らしい声で話していたたかはしが一変。壮大なバンドサウンドに芯のあるハイトーンボイスを絡ませ、安らかな祈りを歌う。また、語り口調の歌い方が印象的な「蛍狩り」ではステージ上のライトがまさに蛍のように輝いていた。