2021年に再検証する“B'zらしさ”とは? 「FRIENDS」シリーズ3作目がチャート首位獲得

 エレキギターとローズ・ピアノの音色から幕を開ける本作でとりわけ印象を残すのは、楽曲にエネルギーをぐっと注入するブラスセクションの存在感。「FRIENDS」シリーズでこれほどブラスセクションーーソロのサックスなどではなく、3~4本の金管楽器が作り出す厚みのあるサウンドーーがフィーチャーされたことはない。

 例えば、裏打ちのリズムギターが印象的な「シーズンエンド」にゴージャスで力強い雰囲気を加えているのは、何よりもイントロから厚いサウンドを聴かせるブラスセクションだ。『FRIENDS II』収録の「傷心」を彷彿とさせるファンキーでエネルギッシュな「ミダレチル」では、ギターのカッティングやクラビネットの細かなグルーヴの絡み合いに、ブラスセクションが歯切れのよいアクセントを加えてケレン味を演出している。一方で、シャッフルした16ビートがグルーヴィな「こんな時だけあなたが恋しい」は、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード、パーカッションの編成。ずっしりとしたエネルギーよりも軽快さに富んで、B'zの顔というべき、ギターとボーカルのメロディの魅力が前面に出ている。

 このように『FRIENDS III』、あるいは「FRIENDS」シリーズという迂回路を通じてB'zの世界に近づいてみると、一作ごとのサウンドの変化や、あるいは変わらないポイントが聴こえてきて、なんだかんだで掴みあぐねていたB'z的なるものの一端に手が届くような気になる。個人的に苦手意識のあったハードロック的なサウンドの聴こえ方も変わってきそうだ。もちろん先に挙げたような言説の助けも大きいけれど、何より本人たちのサウンドが最も雄弁にその魅力を伝えてくれる。そんなことに改めて気づかされもした。

※1:https://www.cyzo.com/2021/11/post_295334_entry.html
※2:https://sisterleemag.medium.com/弱音を吐く情けない男-ブラザーフッド-bz稲葉浩志が伝える-男らしくない-メッセージ-72b815d7919f

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