imdkmのチャート一刀両断!
2021年に再検証する“B'zらしさ”とは? 「FRIENDS」シリーズ3作目がチャート首位獲得
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-12-20/
2021年12月20日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはB'zのコンセプトアルバムシリーズの最新作『FRIENDS III』で、推定売上枚数は132,263枚。次いで2位にはCHANGMIN from 東方神起『Human』(26,353枚)、さらに3位にはクリープハイプ『夜にしがみついて、朝で溶かして』(14,603枚)がランクインしている。ほか、トップ10圏内の初登場のリリースとしては7位 原因は自分にある。『虚像と実像』(5,827枚)、8位 DEAN FUJIOKA『Transmute』(5,563枚)がある。
今回取り上げるのは首位のB'z『FRIENDS III』。1992年の『FRIENDS』、1996年の『FRIENDS II』に続く、「FRIENDS」シリーズ25年ぶりの最新作だ。
2021年のB'zといえば、印象的だったのは5月のサブスク解禁だろう。そのキャリアと人気にも関わらずサブスクでの楽曲配信が長らく行われてこなかったこともあり、まさに待望のアクションだった。それはまた、B'zをめぐる評価の静かで着実な変化とも軌を一にしていたように思う。
ビートメイカー&プロデューサーのTOMCによるプレイリストのキュレーションや、文筆を通じたB'zの再解釈・再検証は、B'zの音楽性の多彩さをプレゼンしながらポップミュージック史にB'zを位置づけ直す仕事だ(※1)。インディペンデントなウェブメディア SisterLeeに掲載された大海蛙「弱音を吐く情けない男、ブラザーフッド…B’z稲葉浩志が伝える“男らしくない”メッセージ」(※2)は稲葉浩志の書く歌詞を規範的な男性性のあり様と対照しつつ読み解くもので、B'zがポップスのなかに表現される男性像を再考するひとつの場にもなりうることを示唆している。
なんだか今年はやけにB'zが気になるな、と思っていた折に届けられた新作が『FRIENDS III』だ。リリースに先駆けてYouTube Liveで配信されたB'zの2人によるトークでは、25年ぶりに「FRIENDS」シリーズの新作を制作したきっかけとして、アメリカから帰国した際の隔離期間に曲を作りためたことを挙げているのが印象的だった。おなじみの「ロックっぽいB'z」とは違う曲ができたけれど、「FRIENDS」シリーズだったらありなんじゃないか、というわけだ。まるで90年代に蒔いた種が2021年に意外な実り方をしたかのような話である。