“乃木坂46の生田絵梨花”を全力でまっとうしたエネルギッシュなステージ 10年分の愛と感謝が溢れた卒業コンサート
ライブもいよいよ後半戦へ。生田が最後に踊っておきたかったシングル表題曲が並べられたこのブロックでは、彼女をセンターに迎えた「命は美しい」で凛々しい姿を提示したかと思えば、「インフルエンサー」「シンクロニシティ」と日本レコード大賞受賞曲の連発で圧倒的な存在感を見せつけていく。特にここでは「インフルエンサー」で生田＆齋藤のダブルセンター、「シンクロニシティ」では前半を梅澤美波、後半を生田がセンターという、これまであまり目にする機会のなかった編成も楽しむことができ、ライブを観ているファンにとって、そして生田自身にとっても「乃木坂にいる間に実現させたかったこと」が次々と目の前で繰り広げられていく。思えば、生田がシングル表題曲でセンターを務めたのは、10枚目シングル曲「何度目の青空か？」のみ。グループを現在の地位まで引き上げた功労者のひとりながらも、そのセンター曲は意外にも少ないのだ。だからこそ、多くの代表曲や隠れた名曲で生田がセンターに立つというこの日の光景は、彼女のファンや古くから乃木坂46を応援してきた者たちにとっては「ずっと見たかった光景」ではなかったのだろうか。そんな気がしてならない。
齋藤のセンター曲「Sing Out!」「裸足でSummer」で会場の一体感がさらに高まると、「横浜アリーナ、騒げーっ！」という生田の煽りから始まる「ガールズルール」で盛り上がりも佳境へ。そして「みんなの心を感じながら披露できたら」というメッセージを添えて、「最後のTight Hug」にてライブ本編は締め括られた。
アンコールはまず、生田がメンバーへ卒業を告げた際の映像からスタート。続いて、松尾スズキのナレーションで生田の10年間の軌跡が紹介される。続いて、白のロングドレスを身にまとった生田が、「アンコールが終われば、ファンの皆さんとはお別れで。あと2週間ちょっとしたら、いよいよ卒業します。10年間見守ってくださった皆様、本当にありがとうございます」とファンへの感謝の言葉を口にする。また、同期メンバーに対しても「私が無駄絡みをしているときはすごく迷惑そうな顔をして対応するけど、自分が一番弱っているときはそばにいてくれて、そっと寄り添ってくれました。こんな温かい人たちに囲まれて、私は10年間幸せに過ごすことができました」と思いを告げ、「全部は投げきれないけど、関わってくれたすべての方々に感謝を伝えたいです。本当に10年間ありがとうございました」と締めくくった。
そんな彼女が「この10年の感謝を込めながら、次の道に進むためにしっかりこの曲を歌って、お別れしたいと思います」と語ってからピアノ弾き語りで披露したのが、ベストアルバム『Time flies』に収録されたソロ曲「歳月の轍」。瞳に涙を浮かべる生田は、流れるようなピアノのフレーズに乗せて歌詞の一言一句に心を込めて歌っていく。続いて、「この曲を伴奏しているときは、微力ながらみんなの支えになれているような気がしていました。なので、最後は大好きなみんなの歌声と姿を、（ピアノを）弾きながら目に焼き付けたいと思います」の言葉に続いて、メンバーとともに「君の名は希望」を歌唱。その光景は、このまま終わらずにいてほしいと思えるような美しさだった。
その後、秋元から生田へ手紙が贈られる。涙を流しながら、生田から受けた刺激やこれまでたくさん支えられたこと「私たちがおばあちゃんになっても、ずっとずっと友達でいてください」と思いを伝えると、2人は熱い抱擁を交わす。生田は、秋元や頼もしい同期、後輩たちに向けた「これからはグループの外から、みんなのことをファンとして応援しているからね」と思いを伝え、思う存分の感謝が込められた「ダンケシェーン」にて約3時間にわたる卒業公演に幕を下ろした。最後まで全力で走り切った生田は、「乃木坂に入ってよかったと、心の底から思います。皆さん出会ってくれて本当にありがとうございます。これからも、乃木坂46のことをよろしくお願いします」と挨拶。すると、客席から「ダンケシェーン」と書かれたメッセージボードが一斉に上がるサプライズに、驚きを隠せない生田は何度も感謝を口にしてステージを降りた。
結果として、この日披露された全28曲中、アンダー曲2曲を除く26曲でステージに立ち続けた生田。その姿は「乃木坂46の生田絵梨花」を最後に全力でまっとうして完全燃焼しようとする、非常にエネルギッシュなものだった。この姿勢は間違いなく後輩たちに受け継がれていくことだろう。だからこそ、2022年以降の乃木坂46は目が離せないものになるはずだし、一方の生田の活躍にも期待が高まる。結成から10年以上にわたり乃木坂46を見守ってきた立場として、今後も両者のさらなる飛躍を楽しみにしたい。
※1：https://realsound.jp/2021/12/post-925874.html
■セットリスト
『乃木坂46 生田絵梨花 卒業コンサート』
2021年12月15日（水）横浜アリーナ
00. OVERTURE
01. あなたのために弾きたい
02. 何度目の青空か？
03. 制服のマネキン
04. おいでシャンプー
05. 会いたかったかもしれない
06. ぐるぐるカーテン
07. I see...
08. 三番目の風
09. アナスターシャ
10. 白い雲にのって
11. あらかじめ語られるロマンス
12. 無表情
13. 偶然を言い訳にして
14. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
15. 13日の金曜日
16. ここじゃないどこか
17. やさしさとは
18. 羽根の記憶
19. 命は美しい
20. インフルエンサー
21. シンクロニシティ
22. Sing Out!
23. 裸足でSummer
24. ガールズルール
25. 最後のTight Hug
＜アンコール＞
26. 歳月の轍
27. 君の名は希望
28. ダンケシェーン
