乃木坂46 樋口日奈&鈴木絢音が考える、グループのターニングポイントとこれから 生田絵梨花の存在やシングル曲への本音も

乃木坂46 樋口日奈&鈴木絢音インタビュー

 乃木坂46が、初のベストアルバム『Time flies』をリリースした。Disc 1、2には、『ぐるぐるカーテン』から『君に叱られた』までのシングル表題曲に加え、生田絵梨花が最後のセンターを務める「最後のTight Hug」、完全生産限定盤&初回仕様限定盤に付属するDisc 3には1stアルバム『透明な色』から4thアルバム『今が思い出になるまで』の各アルバムリードトラックの他に、パッケージ未収録だった「世界中の隣人よ」、「Route246」、「ゆっくりと咲く花」、生田絵梨花ソロ曲「歳月の轍」、新内眞衣初のソロ曲「あなたからの卒業」、そしてアンダー楽曲として新曲「Hard to say」を収録。

 今回リアルサウンドでは、そんな同作を軸に、樋口日奈と鈴木絢音にインタビューを行った。アンダーも経験してきたが故に、「(乃木坂の曲を)聴くとその当時のつらい思い出が浮かんでくる」という二人だが、ここ2年ほどでそんな心境に変化もあったそう。新メンバーを迎える予定のグループのこれからや、卒業を迎える生田絵梨花に対する思いまで、率直に語ってくれた。(編集部)【記事最後にプレゼント情報あり】

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【大人っぽさと髪の毛にびっくり!?】乃木坂46 樋口日奈と鈴木絢音、お互いの第一印象は?

グループのターニングポイントは「君の名は希望」と「裸足でSummer」

ーー実はおふたりにとって、すごく懐かしい写真がありまして(2人がバックカバーを飾った2016年10月発売のムック『別冊カドカワ 総力特集 乃木坂46 vol.03』を見せる)。これがもう5年前なんですよ。

2人:えーっ!?

樋口日奈(以下、樋口):懐かしい!

鈴木絢音(以下、鈴木):時間が経つのが早すぎて怖い(笑)。

ーーこの頃と比べて、おふたりの関係性は変わりましたか?

樋口:ずいぶん変わったんじゃないかな?

鈴木:うん、より近くなったというか。

樋口:お互い気を楽にしていられるというのはあります。

ーー過去、『のぎおび⊿』(SHOWROOM)では、鈴木さんが尊敬する先輩に樋口さんを挙げてらっしゃいましたよね(※1)。

鈴木:はい、尊敬できる大好きな先輩です。隣にいるから言葉にするのは恥ずかしいですけど(笑)、この人の後ろをついていきたいなと思わせてくれる先輩だなと、いつも思っています。

樋口:絢音ちゃんにそう言われると、よりうれしいですね。

ーー樋口さんから見た鈴木さんは、どういう存在ですか?

樋口:絢音ちゃんは本当に美しくて、凛としていて、乃木坂の空気をきちんと作っている人というか。私が勝手に思っていることなんですけど、例えば少人数のお仕事に絢音ちゃんがいるだけで、ちょっと知的な感じになるんです。

鈴木:本当にそんなことないですよ〜(苦笑)。私、自分に全然自信ないですもん。音楽番組に参加した際のパフォーマンス映像とか見ても、自分が映ると「いやーっ、ダメ!」って思っちゃいますから。で、(樋口は)それをなだめてくれる存在です(笑)。

樋口:その控えめな感じが魅力でもあるんだけどね。

ーー今回、乃木坂46のCDデビュー10周年を記念したベストアルバム『Time flies』が発売されますが、おふたりはベストアルバムというものに、どんなイメージがありますか?

樋口:乃木坂にとって初のベストアルバムですけど、その前にアンダーアルバム(2018年1月発売の『僕だけの君〜Under Super Best〜』)があったり、1stアルバム『透明な色』(2015年1月発売)も初期のシングルをまとめたような内容だったので、ベストアルバムということに対しては「初めて」という感覚はあまりなくて。ただ、10周年のアニバーサリーアルバムという意味でも本当に細部にまでスタッフさんがこだわってくださっていることが、すごく伝わってくるんです。例えば、アルバムに付属するブックレットの写真も、背景がぼけていてわからないかもしれないですけど、1期生はそれぞれ1stアルバムのときに撮った場所の近くだったりして。私は前と同じ場所で撮ったんですけど、そういうゆかりのある地で撮っていることが多かったり、(Sony Music Shop限定盤の)カスタムジャケットの衣装へのこだわり含めて、スタッフさんの愛情を感じます。

鈴木:わかります。私はベストアルバムって、大きくなったアーティストさんが出していらっしゃるイメージが強かったので、私たちも出せるようになったんだということにびっくりしたことがひとつ。あとは、自分自身もCD単位で音楽を聴く人間なので、気になったアーティストさんができるとベストアルバムから手を出すことが多くて。そういう意味では、気になった方が最初に手にする、乃木坂の顔みたいな作品になるんだろうなと思います。

ーー特に今回の『Time flies』はシングル表題曲が網羅されていて、ここから入ってほかのアルバムやシングルカップリング曲に手を伸ばしたりと、そのきっかけを作ってくれそうですね。改めて聴き返すと、この10年のいろんな記憶がよみがえってきますが、ここからはさまざまな視点でシングル表題曲を振り返ってみたいと思います。まず、おふたりが初めて選抜入りしたシングルについて。樋口さんは8thシングル「気づいたら片想い」(2014年4月発売)、鈴木さんは21stシングル「ジコチューで行こう!」(2018年8月)でした。選抜入りした当時の活動で、特に印象に残っていることは?

樋口:「気づいたら片想い」は乃木坂が初めて『ミュージックステーション』に出させていただいた曲でもあるので、そういう意味ではグループにとってターニングポイントだったのかな。なぁちゃん(西野七瀬)の初センター曲でもあったし、いろんな初めてがつながって、乃木坂がひとつ上の階段に登っていったことを感じたシングルでもありました。でも、これは中にいる人間だからなんとなくわかることなんですけど、当時は経験として選抜に入れてもらえたという感覚が強くて。だから、選ばれてうれしいという気持ちよりも、そういう順番が回ってきただけで、実力じゃないのかもなということも感じたシングルでもありました。

乃木坂46 『気づいたら片想い』Short Ver.

ーーとなると、そのあとに「インフルエンサー」(2017年3月発売の17thシングル)で再び選抜入りしたことは、自信につながったんでしょうか?

樋口:いや、当時も全然なかったですね。常に選抜入りするメンバーにもそれぞれ悩みや不安はあると思うんですけど、私みたいにアンダーと選抜を行き来しているメンバーは、常に「いつ自分がふるいにかけられるかわからない」という怖さと戦っているので、そういう意味では毎シングルどきどきするし。ずっと不安と戦っています。

ーーなるほど。鈴木さんは「ジコチューで行こう!」の頃、印象に残っていることは?

鈴木:それこそ夏は歌番組の特番があったりして、本当に忙しくさせていただいたので、気がついたら終わっていたという印象が強いです。私はその前に、「インフルエンサー」くらいから歌番組に選抜メンバーの代打で入らせていただくことが増えていて、同期で一番仲の良かった堀未央奈ちゃんと一緒にいられる時間が長かったことが、すごくうれしくて。その気持ちがどんどん強くなっていたタイミングでの選抜入りだったので、本当に一緒に活動できることが幸せでした。MVも海外(ベトナム)で撮りましたし、そこでも一緒にいることができてうれしかったなという思い出があります。

乃木坂46 『ジコチューで行こう!』

ーー特に夏シングルは全国ツアーのタイミングですし、かなり忙しい時期ですよね。

鈴木:確かにそれもありますね。あと、選抜に入るとカップリング曲も、多いと2曲くらい参加させていただけるんですけど、このときも「空扉」と「あんなに好きだったのに…」に参加できて。1枚のシングルでこんなに歌うことができたのも初めてだったので、ツアーでその曲を披露させていただくにあたって、自分のポジションが選抜の中にあるということがうれしかった記憶があります。

ーーそれ以外のシングル表題曲やアルバムリード曲の中で、特に思い出に残っているものを挙げるとすると?

樋口:自分が選抜に入った「シンクロニシティ」(2018年4月発売の20thシングル)は、乃木坂の中でもかなり好きな曲です。この曲で二度目のレコード大賞もいただいたし、歌番組で今も披露する機会が多いですし。乃木坂らしさがギュッと詰まっている感じが素敵だなと思うし、MVも同じシチュエーションの中でダンスシーンだけで構成されていて、メンバーも裸足、衣装も真っ白な一着だけという、無駄なものをすべて削ぎ落として残った乃木坂らしさだけの映像というのも、すごく素敵だなと個人的に思うんです。あと、この曲は歌っているほうはもちろん、聴くほうも「ひとりじゃないんだ」と安心できる曲でもあるので、これを聴いたら、みんなが優しくなれるんじゃないかな。そう思わせてくれるという点でも、すごく好きな1曲です。

乃木坂46 『シンクロニシティ』

ーー歌詞にしても、こういうご時世だからこそ聴いてほしい内容ですものね。鈴木さんはどうでしょう?

鈴木:2期生が初めてパフォーマンスを披露した「走れ!Bicycle」(2012年8月発売)ですかね。「ガールズルール」(2013年7月発売の6thシングル)の全国握手会(2013年8月4日、幕張メッセ)がお披露目だったんですけど、この曲について理解を深めなきゃと頑張った記憶があります。あとは先輩のパフォーマンスをたくさん見せていただいたのも、この曲が初めてのことで、ファンとして見るぶんには可愛いなと思って見ていられるけど、「どう踊ろうかな?」「どう表現しようかな?」と考えながら見た曲はこれが初めてでした。

乃木坂46 『走れ!Bicycle』Short Ver.

ーーでは、乃木坂46にとってターニングポイントになった曲を挙げるとしたら、おふたりはどういう曲を挙げますか?

鈴木:難しいですね。ターニングポイントはいっぱいありましたし、ひとつ挙げるとなると……。

樋口:じゃあ、私は「君の名は希望」(2013年3月発売の5thシングル)。『紅白歌合戦』に初めて出させて頂いたとき(2015年12月)にこの曲を歌ったんです。この曲の頃は生駒(里奈)ちゃんがずっと“乃木坂の顔”として頑張ってくれていて、お年寄りや地方に住んでいる方も「乃木坂のメンバーで知っているのは生駒ちゃん」みたいに必ず名前が挙がるほど。そうやって乃木坂を背負って頑張ってくれていた子たちのおかげで『紅白歌合戦』にも出られたと思うし、そんな大きな夢が叶った瞬間に歌った「君の名は希望」は大事な曲なんです。

乃木坂46 『君の名は希望』Short Ver.

鈴木:私は「裸足でSummer」(2016年7月発売の15thシングル)です。このベストアルバムでもDISC 2はこの曲から始まるし、ちょうど歴史の折り返しという意味も大きいのかなと。この曲のあたりから乃木坂のシングル表題曲に、ちょっと遊びが出てきた感を感じていて。「インフルエンサー」もこれまでになかった色ですし、「逃げ水」(2017年8月発売の18thシングル)のサビ前にブレイクが入る感じとか、そのあとの新しい色を作り始めるきっかけになっているのかなと思うんです。

乃木坂46 『裸足でSummer』

ーー僕もまったく同じことを感じていました。

鈴木:この曲がDISC 1に入っていると、また印象がちょっと違う気がしますし。「ハルジオンが咲く頃」(2016年3月発売の14thシングル)まででひと括り感があるので、ここから新しい時代が始まったような印象もあります。

ーーちょうど齋藤飛鳥さんが初めてセンターを務めたタイミングでしたし。

樋口:そうですよね。私もこのシングルのアンダー曲「シークレットグラフィティー」で初めてセンターを担当していて、1期生の年少組だった2人が選抜とアンダーのセンターを務めたことは、すごく印象に残っています。

ーーそういった方々のことを“次世代メンバー”と呼び始めた時期でもあり、歴史的にも結成から5年経ったタイミングなんですよ。

鈴木:なるほど。3期生が入るタイミングでもあったし、ちょうど5年の区切りでもあるんですね。

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