SWAY、ライフステージの変化が生んだ新しい価値観 音楽に込める自身や家族へのリアルな言葉

SWAY、変化が生んだ新しい価値観

子供にも自分が見てきた光景を見せてあげたい

ーーめちゃくちゃリアルですね。2曲目の「Happiness」は、ロマンティックかつ神秘的な雰囲気のミディアムチューン。タイトル通り、幸せを具現化したような楽曲だなと。

SWAY:僕のために1から作ってくれた曲で、最初の時点ですごく良かったんです。でも、これから生まれてくる子供のことをイメージしているうちに、一人で完結するんじゃなくて、もっと神秘的なコーラスがほしいなと思って。いつもDOBERMAN INFINITYのライブでコーラスをやってくれてるHIROさんに「ゴスペル的なコーラスを入れて華やかにしてほしい」とお願いしたんです。レコーディングにも立ち合ったんですが、感動して鳥肌が立ちましたね。

ーー歌詞のなかには、SWAYさんの幼少期の情景、父親、母親との思い出も描かれていますね。

SWAY:子供のとき、父と母に片方ずつ手を持ってもらって、ブランコした記憶があって。僕は一人っ子なので、両親を独占できたんですよ(笑)。自分たちの子供もしばらくは一人っ子なので、自分が見てきた光景を見せてあげたいなという気持ちもあって……。この歌詞を書いてるとき、昔のことをめっちゃ思い出したんですよ。住んでいた家だったり、近所の雰囲気だったり。

ーー“子供を持つと、親は自分の人生を生き直す”と言われますからね。

SWAY:たしかに。しっかりコンセプトを決めて作ったからこそ、自分の人生のことも見つめ直せたんだと思います。あと、ZORNくんの横浜アリーナライブを見たときに感じたことも影響していますね。ZORNくんも父親だし、家族のことをリリックに書くことも多いじゃないですか。ライブを観ながら、めっちゃメモしました(笑)。

ーー〈脱ぎ捨てるプラダ 着こなすサンタ〉もフックラインだなと。

SWAY:気付いてくれました(笑)? サウナにいるときに思い付いたフレーズなんですけど、サンタの格好だけじゃなくて、子供を育てていると自分の服も汚れるだろうし、普段からハイブランドの服なんて着てられないなって。家ではどうでもいいトレーナーとか着るんだろうなっていう(笑)。

ーーそうやって少しずつ価値観が変わっていくんでしょうね。「How Much I Love feat. HI-D」は、“ありがとう”という言葉の意味をさらに深く掘り下げて綴った楽曲。めちゃくちゃストレートな歌詞ですね。

SWAY:そうですね。この曲、リリックも自分と向き合っている時間のなかで、スッと書けたので。トラックメイカーは「ON FIRE」でもご一緒したTOMOKOさんで、今回のコンセプトを伝えたうえで、「ワンループで潔い感じの曲にしたい」とお願いしました。この曲が最後の制作だったので、他の3曲とのバランスも見つつ。

ーーワンループということもあって、4曲のなかではいちばんヒップホップ然としているかも。

SWAY:全曲ワンループでもよかったんですけど、制作のなかで素晴らしいトラックに出会ってしまったという感じですね。「How Much I Love」のフックは自分以外の人に歌ってほしいと思って、TOMOKOさんにも「気になってる人はいますか?」と聞いて。そのときに挙がったのがHI-Dさんの名前だったんです。HI-Dさんとは昔、北海道を一緒にツアーしたこともあって。当時、USのいちばんホットな曲に日本語のリリックを乗せてカバーするのが流行ってたんですけど、そのツアーでB.o.Bとブルーノ・マーズの「Nothin' On You」をフル日本語でやったんですよ。

ーーへー! 聴いてみたかったです。

SWAY:もちろんライブ限定ですけどね(笑)。HI-Dさんは以前、<Def Jam Japan>と契約していて。僕も今は<Def Jam Recordings>に籍を置かせてもらってるので、いろいろな意味で良いコラボになったと思います。

ーーHI-Dさんをフィーチャーした楽曲はこれが初めてですからね。

SWAY:そうなんです。僕が書いたリリックを送ったら、速攻でレスポンスをくれて、すぐにレコーディングして。HI-Dさんの「君がいるから」が好きすぎて、高校のときずっとカラオケで歌っていたんですけど、あの曲へのオマージュも込めているんですよ。HI-Dさんも「深い気持ちになるね。いろんなSWAYを見てきたから、嬉しいよ」と言ってくれて。

ーー影響を受けているんですね。

SWAY:めっちゃ受けてますね。洋服もマネしてましたから、(B2の)キャップ、ピチピチの白Tシャツとデニム、下(シューズ)はティンバーランドっていう。このタイミングで一緒にやれて、すごく光栄です。

普段から「自分にしかできないこと」を考え続けている

ーーそして4曲目の「Under The Stars feat. Lupe Fiasco」もすごいインパクトで。楽曲はSUNNY BOYさんとの共作ですね。

SWAY:SUNNYとは同い年で、23、4歳くらいのときから知り合いなんです。僕はまだ札幌にいて、SUNNYもハワイから日本に来たばかりで、そんなに日本語も話せなくて。すぐに仲良くなったんですけど、そのきっかけがルーペ・フィアスコだったんですよ。「どんな音楽が好き?」って話していて、「ルーペ・フィアスコとか、カニエ(・ウェスト)、The Neptunes」と答えたら、「俺も!」って。その後も頻繁にやり取りしていて、「The Neptunesっぽいトラックでやってみない?」みたいな感じで曲を作ったこともあって。それが登坂広臣くんと一緒にやったPKCZ®の「Beauty Mark feat.登坂広臣,SWAY」になったんですけどね。

ーーそうだったんですね!

SWAY:はい。そのことも踏まえて、「SUNNYとやるなら、どうしてもルーペを呼びたい」と思って。じつはルーペとも接点があったんですよ。ルーペはSWAGGER(アパレルブランド)が好きで、そのつながりで(SWAGGERのデザイナーだった)Johnny Hiramotoくんと友達で。2年以上前なんですけど、Johnnyくんが「今からルーペとメシ行くけど、来る?」って電話をくれて、食い気味で「行きます!」って(笑)。そこで初めて会ったんですけど、HONEST BOYZ®のMVを観てくれていて、僕のことも知ってくれていたんですよ。その後もDMでやりとりしていたし、今回のお願いも快く引き受けてくれて。ルーペのパートを空けたトラック、自分で書いたリリックの英訳を送ったんですけど……。

ーールーペのラップ、どうでした?

SWAY:大興奮でしたね! 速攻SUNNYも「最高!」ってめちゃくちゃ喜んで。ルーペは自分の音楽観を変えてくれた人だし、一緒にやれてすごく嬉しかったです。

ーー音楽観を変えられたというのは?

SWAY:16歳からリリックを書き始めたんですけど、当時は『8 Mile』(エミネムの自伝映画)だったり、ギャングスタラップが流行っていて、MVも“酒、女の子、ジュエリー、銃”みたいな感じで。正直、そういうものへの憧れもあったんですけど、日本はそうじゃないし、ぜんぜん身近じゃなかったんですよ。音楽は大好きだけど、不良でもないし、ラップをやるためにそっちに自分を寄せるのも違うじゃないですか。N.W.Aの「Fuck Tha Police」という曲がありますけど、警察にそんなこと思ったこともなかったし(笑)。なので最初は「何を書けばいいかわからない」という状態だったんです。でも、ルーペやカニエはすごく身近なことをリリックにしていたんですよね。ルーペだったらスケボーを題材にしてたり、自分のライフスタイルを悪ぶることなく表現していて。それがすごくカッコよかったし、「自分もこういうふうに書けばいいんだ」と思って。

ーー自分自身のことを飾らずリリックにすればいい、と。今回の『UNION』はまさにそうですね。“歌うべきことがある”という強さがある作品なので。

SWAY:ありがとうございます。普段から「自分にしかできないこと」を考え続けているし、『UNION』は自分が感じたことをそのまま曲にしているところもあるので、それをしっかり表現できたのかなと。

ーー『UNION』(“連合、合併、融和”)というタイトルもぴったりですね。

SWAY:自分のなかでは“合流地点”というイメージなんですよ。ジャケットも自分でデザインさせてもらったんですけど、『ワイルド・スピード』が大好きなので、あのシリーズに対する思いも込めていて。ポール・ウォーカーが亡くなって本当にショックだったんですけど、このジャケットでは(主人公のドミニク(ヴィン・ディーゼル)、ポールが演じたブライアン・オコナーの)2台の車が合流するシーンを描いているんです。僕自身もいろいろな人たちとの出会いによって、ここにいるので。DOBERMAN INFINITYの仲間、ファンのみなさん、もちろん奥さんや生まれてくる子供もそうだし。

ーーSWAYさんのパーソナルな思いがたっぷり注がれた作品ですが、リスナーとしては、自分自身のことと重ねて聴くこともできると思います。

SWAY:そうなってくれたらいいですね。普段は「聴いてくれる人にも考えてもらうためには、どういうリリックがいいだろう?」という発想で書くことが多いんですが、今回は本当に自分の内側のことを書いていて。どう受け止めてもらえるのか不安なところもあるんですが、みなさんの人生に置き換えてもらえたら嬉しいです。

ーーコロナ禍になって、大切な人との関係を見つめ直した人も多いでしょうし。

SWAY:そうですよね。僕自身も大切な人を失くしたり、仲間との別れも経験して。でも、また新しい出会いもあって……「How Much I Love」のリリックにも書いたんですけど、自分自身と向き合ったり、これまでのことを振り返ると、「人生そんなに悪くないな」って思える気がするので。

ーー『UNION』はSWAYさんのアーティスト人生にとっても、一つの分岐点になると思います。2022年はどんな展開になりそうですか?

SWAY:めちゃくちゃ攻めていきたいですね。今年はDOBERMAN INFINITYのツアーもやれて。ひとつの公演が欠けることもなく、延期や中止もなくファイナルまでやり遂げられたことはすごくありがたかったし、今までとは違う感覚もあったんですよ。音楽をやれることのありがたみ、ファンのみなさんへの感謝を改めて感じたし、この感覚を忘れちゃいけないなと。それを踏まえて、2022年はDOBERMAN INFINITYとしてもソロとしてもさらに進んでいきたいし、自分の表現を育てていきたいと思います。

SWAY『UNION』
SWAY『UNION』

■リリース情報
『UNION』
12月15日(水)配信リリース
1.fosho
2.Happiness
3.How Much I Love feat. HI-D
4.Under The Stars feat. Lupe Fiasco

SWAY Twitter:https://twitter.com/sway_official     
SWAY Instagram:https://www.instagram.com/sway_ldh/  
SWAY HP: https://m.ldh-m.jp/artist/index/181 
DOBERMAN INFINITY HP : http://dobermaninfinity-ldh.jp/
SWAY UNIVERSAL MUSIC HP: https://www.universal-music.co.jp/sway-d/
SWAY Def Jam Recordings HP: https://www.defjamrecordings.jp/

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