SWAYが素直に綴った亡き母への思いと誓いーーサプライズリリースされた「Angels」を聴いて

 DOBERMAN INFINITYのメンバーであり、ソロとしても活躍するラッパーのSWAYが、新曲「Angels」を12月18日にサプライズリリースした。

SWAY「Angels」

 今年で結成5周年を迎えたDOBERMAN INFINITYは、6月に初のベストアルバム『5IVE』を発売。7月には主催フェス『D.Island 2019』を自身最大規模で開催し、11月には悲願だったアリーナツアーの開催も。アニバーサリーイヤーを総括するように、11月27日には5年間の思いと未来への進化をパックした最新シングル『We are the one / ずっと』をリリースし、2019年を破竹の勢いで駆け抜けた。

 多忙を極めるDOBERMAN INFINITYの活動と並行し、SWAYは2017年に<Def Jam Recordings>からソロとしてメジャーデビュー。2018年には1stアルバム『UNCHAINED』を発表し、今年に入ってからも「チョコレート」「ON FIRE」の2曲を配信リリース。共にiTunesのヒップホップチャートで頂点を極め、ソロ活動に弾みをつけた。

 グループとしてもソロとしても躍進を遂げた2019年。そんな1年を締めくくるかのように届けられた新曲「Angels」は、SWAYが亡き母への思いを綴った、とても私的な1曲だ。

 彼の母親が他界したのは昨年。リリースに寄せたSWAYのオフィシャルコメントによると、DOBERMAN INFINITYのホールツアーの地元・札幌公演の目前だったという。過去のインタビューではソロアルバム『UNCHAINED』の制作中だったとも語っており、最後のお別れのときにアルバム収録曲の「Perfect Love」をかけたことを明かしている。

 母親にまつわるエピソードは、2017年にゲスト出演した『ALL GOOD FRIDAY』(J-WAVE)内のコーナー「BASE GIFT CONCIERGE」でも明かしている。そのときの様子をまとめたウェブサイト・BASE Mag.によると、ゲストがギフトを贈りたい相手を挙げるこのコーナーで、一人っ子の彼は当時還暦を迎えた両親を指名。人柄について「父はちょっと頑固者。そして母も割と頑固者」と明かし、「頑固VS頑固で(~中略~)二人が何か意見がくいちがう時に必ず僕がサンドイッチ状態にされるというなかなかユニークな三人家族(笑)」とコメント。続けて「二人は仲は悪くないんです」とフォローを入れ、「なぜかというと僕に報告せず急に前日とかに『明日から3日間くらいイタリアに行くから何かあったら連絡行くと思うからよろしくね』といった報告があったり」「北海道に帰るたびに三人で近くの居酒屋さんをハシゴしたり」と、仲睦まじい関係であることを伝えていた。

 今回の「Angels」は、トラックだけは1年近く手元にあったものの、なかなか書く気になれなかった曲だったとか。ところが、イタリアでの仕事が決まった際に、両親がイタリア旅行に行ったことを思いだし、ある日急にリリックが浮かんできて、あっという間に出来上がったそうだ。

 実際、歌詞は彼が目をつむって思いのままに書き進めたことがうかがえるようなフレーズから始まる。ファーストヴァースでは天使に母親のことを頼むとラップし、お酒が好きだった母親に〈毎晩の晩酌は タバコとウーロンハイ〉とリクエスト。〈そっちの居心地はどうだい?〉と思いを馳せる。続くセカンドヴァースでは、自分を育て上げてくれた母の大きな愛への感謝と、何をしてあげることができたのかという後悔の念を綴り、だからこそ、これからの未来を自分が守ると母に誓って終わる。

 当初は、突然の別れに戸惑ったようだが、「最近ようやく心の整理ができてきました」とコメントしているSWAY。そんな心境が反映されてか、「Angels」に湿っぽさはあまり感じられない。柔らかなグルーヴのミッドテンポで聴かせる今回の曲は生音を重視したサウンドになっていて、温もりと優しさに溢れている。天国にいる母親と水入らずで語り合っているような、くつろいだ雰囲気すら持ち併せていて、それがかえってハートフルな涙を誘う作品に仕上がっている。

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