Lucky Kilimanjaro、ダンスミュージックで運んだ幸せな夜 根源的な快楽を揺さぶる極上のライブ体験
Lucky Kilimanjaroが、2021年11月25日に東京・Zepp DiverCityで『Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “21 Dancers”』のファイナル公演を行った。この日のチケットはソールドアウト。本編ではMC一切なしのノンストップでライブが展開され、アンコール含め27曲を披露した。
宇宙空間を思わせる浮遊感のあるSEが流れる暗闇の中、6人のメンバーが大きな拍手とともにステージに現れる。強いライトがパッと会場を照らしたと同時に「ひとりの夜を抜け」が始まると、そこはもう楽園だった。Lucky Kilimanjaroの音楽を待ちわびていた観客たちのたくさんの手が光に照らされ、声が上がっていないことに違和感を覚えるほど、高揚した空気に満ちている。激しい轟音で煽りたてるのではなく、リラックスした雰囲気で観客たちに音楽を提供し、“音とリズムを楽しむ”という人間の本能を刺激してくる。これがLucky Kilimanjaroのライブだ。
「Superfine Morning Routing」が流れ出すころには、観客たちは隣同士で目を合わせて一緒に頭を動かしたり、両手を頭上に突き上げたりと、思い思いの方法でライブを目いっぱい楽しみだす。熊木幸丸(Vo)も、ステージの端から端まで歩いて本能のままに踊る。柴田昌輝(Dr)とラミ(Perc)のリズムが複雑に絡み合うドラムソロから「FRESH」へ。「どうですか、Zepp DiverCity。楽しんでますか?」とまるで知り合いに話しかけるかのようなラフなニュアンスで客席の調子をうかがう熊木は、「光はわたしのなか」では緩急つけたボーカルで会場を魅了。〈憧れたDiverCityで歌うよ〉と途中の歌詞を変えて歌い、特別な夜をさらに盛り上げた。七色のライトがステージを照らし出すと、「Drawing!」が始まる。熊木の「ダンスは自由です。自由に踊りましょう!」という言葉をきっかけに、観客たちはさらに自分の中の感情を開放していく。グッズのTシャツを身に着けてテンション高く踊る人や、控えめに手を揺らしながら音に身をゆだねる人、スーツ姿でステージを見つめながらリズムに合わせて頭を動かす人。性別も年齢も服装も多様な彼らに唯一共通するのは、今この瞬間を、Lucky Kilimanjaroの音楽を楽しんでいるということだけだ。
その後も「RUN」「雨が降るなら踊ればいいじゃない」「あついきもち」などを繰り出し、心地良いサウンドと快楽的なリズムをノンストップで生み出し続ける。「Sweet Supermarket」では、大瀧真央(Syn)のスタイリッシュかつ印象的なシンセソロが披露された。「まだまだいける?」という熊木の言葉から静かに始まった「Do Do Do」だったが、曲中に自然と手拍子が沸き起こると、そこから一気にボルテージが上がっていく。爆音で流れるエレクトロなサウンドに共鳴するよう飛び跳ねる観客たち。松崎浩二(Gt)、山浦聖司(Ba)も曲中に手を高くあげて、観客たちのノリを誘導する。ミラーボールが回る幻想的なムードの中で「MOONLIGHT」を披露したあとは、「ダンスチューンが続きます」という熊木の言葉を合図に再びライブのテンションが上がっていく。
「Fire」「SuperStar」とダイナミックなサウンドで、会場中に高揚感を満たしていくLucky Kilimanjaro。ステージ後方や天井近くに設置されたライトがリズムに合わせて様々な形を描き、楽曲が持つ気持ちよさをさらに増幅させる。そこに彼らのキラーチューン「Burning Friday Night」が繰り出されると、客席は完全に巨大なクラブ空間へ。ほぼ全員がLucky Kilimanjaroの音楽に合わせて自然と踊りはじめ、身体的な解放による快楽を味わっていた。「エモめの夏」「ON」「KIDS」とまだまだ続くダンスチューンに、ステージと客席のボルテージは右肩上がり。演者と観客という境目すらも薄れていき、ただひたすら一緒に音楽を楽しむ。リラックスしたムードで音に酔える「夜とシンセサイザー」で一旦落ち着いた空気も、「楽園」「HOUSE」と再び叩きつけられたハイな曲たちで熱気を取り戻す。