w-inds.、価値観の変化につながる様々な経験を乗り越えて 作品を通して発する強いメッセージ

w-inds.、様々な経験を乗り越えて

 w-inds.がニューアルバム『20XX “We are”』をリリースした。

【TRAILER(short)】w-inds. 14th Album「20XX “We are”」(2021.11.24 Release)

 新体制になって最初のシングル「Beautiful Now」、先行配信された「Strip」「Little」「The  Christmas  Song(feat.DA PUMP & &Lead)」を含む本作には、橘慶太によるサウンドメイク、慶太&千葉涼平のボーカル、2人の生の体験や感情から導かれた歌詞など、現在のw-inds.のあり方が強く反映されている。長年活動を共にした緒方龍一の脱退、ベストアルバム『20XX “THE BEST”』のリリース、初のオンラインライブの開催などを経て届けられた3年ぶりのアルバムについて、慶太、涼平に語ってもらった。(森朋之)

人間として成長できたことで書けるようになった歌詞

w-inds.(写真=藤本孝之)
橘慶太

ーーニューアルバム『20XX “We are”』、本当に素晴らしいです。音楽的な自由度とクオリティがさらに上がっているし、2人のメッセージもしっかり込められていて。リスナーの反応もかなり良いのでは?

慶太:喜んでもらえているみたいですね。事務所の社長からも「すごくいいよ」と言われて。ちょっと意外だったんですよね。「また好き勝手やって」とか言われると思っていたので(笑)。

涼平:ハハハハハ。

慶太:自分たちがやりたいことをしっかり続けていれば周りの人たちも納得してくれるんだなって、最近さらに思うようになりましたね。このアルバムも、5年前だったらマニアックだと言われる可能性もあっただろうなって。今はファンの方も含めて「w-inds.といえば、これだよね」と思ってくれているので。

涼平:そうだね。

ーー「やりたいことを続けていれば、いつか理解してもらえる」と思っていた?

慶太:というより、「そうならなくちゃいけない」と思っていましたね。

涼平:やりたいことをやることが難しそうな環境にいる人たちもいるなかで、自分たちが「いいな」とか「カッコいいな」と思っている楽曲をやれることは本当にありがたいなと。

ーー『20XX “We are”』は新体制となって最初のアルバムだし、これまで以上に2人のスタンスを示す必要があったのでは?

慶太:そうですね。涼平くんの歌もそうだし、“新体制はこうだ”というのを見せたいとは思っていました。アルバムのテーマとしては、今のw-inds.の状況を示すこともそうだし、暗くなっている世界を明るくするというか、少しでも背中を押せたらというのはありました。自分たちもコロナ禍の影響を受けたし、メンバーの脱退だったり、苦しかった部分もあるので。それを乗り越えるためにこのアルバムを作ったところもありますね。

ーー自分たちを鼓舞するアルバムでもある、と。今の話にもありましたけど、涼平さんのボーカルも大きなポイントだと思います。

涼平:恐縮です。

慶太:ひと言で終わらせようとしないでください(笑)。

w-inds.(写真=藤本孝之)
千葉涼平

涼平:(笑)。大変でしたけど、楽しく挑みましたね。「Beautiful Now」を作ったときに曲に対する向かい方がガラっと変わって、考えすぎるのはやめようと思ったんですよ。その後はプレッシャーを感じることもなく、1曲1曲楽しもうと。慶太にもレコーディングで細かくアドバイスをもらって。

慶太:けっこう細かいんですよ、僕(笑)。自分で言うのはすごく恥ずかしいんですけど、人の歌を録るのが得意なんですよね。

涼平:そうだよね。

慶太:理論的に組み立てるというか、声質や発声方法、ニュアンスを含めて、「こう歌ってほしい」と具体的に伝えるようにしていて。僕も経験があるんですけど、「空を思い描いて」とか「森の中にいるような気持ちで」と言われてもわからないんですよ(笑)。僕のディレクションは「今のところ、語尾をもうちょっと短く」とか「小さい“っ”を入れる感じで」とか口の形のことだったりするので。

涼平:わかりやすいですね。慶太自身が歌って説明してくれるから、飲み込みも早いです。

ーーでは、収録曲について聞かせてください。1曲目の「Strip」は、涼平さんのボーカルから始まるダンストラック。サウンドメイク、歌詞を含めて、すごく攻めている楽曲だなと。

Strip(MUSIC VIDEO Full ver.)/ w-inds.

慶太:アルバムの制作に入って、最初に作った曲なんですよ。リードになる曲にしたくて、ワンコーラスだけのデモを作って、「こんな感じなんだけど、大丈夫かな」ってみんなに送って。

涼平:それがすでにめちゃくちゃ良かったです。

慶太:歌詞に関しても、「今だから歌えるメッセージを入れたい」という話をしていて。アルバム全体がそうなんですけどね、今回は。

涼平:そう、強いメッセージの曲が多いので。特に「Strip」はかなりグサッと刺さる強さがありますね。僕自身もそうですけど、自分らしく生きるのって難しい世の中だし、自分を出すと責められることもあるじゃないですか。萎縮して、自分のやりたいことができなくなるというか。この曲の歌詞には“そんな自分を捨てて、新しい自分に生まれ変わる”というメッセージもあるし、僕自身もパワーをもらえたんですよね。ぜひ、みんなにもそれを感じてほしいなと。

ーー特にエンターテインメントの最前線にいる人は、自由に生きることが難しくなっている風潮がありますよね。

慶太:そうだと思いますよ。言いたいことも言えないし、やりたいこともやれない人が多いだろうし。「芸能人はやりたいことがやれていいよな」と言われることもあるけど、それぞれ本当にいろいろなことがありますから。

涼平:最近は特に「芸能人には何を言ってもOK」みたいなところもあるしね。

慶太:まあ、僕たちはわりと大丈夫ですけどね。

ーーこのアルバム自体、自由にやりたいことをやっている証明というか。

慶太:たしかに。この数年、自分のなかの価値観がどんどん変わっているのを感じていて。特にこの2年間は人間として成長できた感じがすごくあるし、だからこそ「Strip」みたいな歌詞を書けるようになったんだと思います。以前だったら、こういう歌詞を歌っても説得力がなかっただろうなって。実際にいろんな経験をしたからこそ、包み隠さず歌えるようになったというか。

w-inds.(写真=藤本孝之)

ーー2曲目の「EXIT」も、“ここから飛び出そう”と投げかける歌詞が印象的でした。この曲もかなりアグレッシブですね。

慶太:そうなんですよ。ど頭の2曲で衝撃を与えるのが今回の狙いでもあったので。「EXIT」では、“逃げることも正解”、“逃げることも必要”と歌ってみたくて。僕は周りの人から“逃げない人間”だと思われているし、実際、そんなに逃げることはないんですけど、自分のやり方がみんなに当てはまるとはまったく思っていなくて。人それぞれ心のあり方は違うし、心が壊れる前にちゃんと逃げてほしいなと。逃げずに戦って心が壊れてしまったら、本末転倒ですからね。

ーー現代ではメンタルケアも重要ですよね。

慶太:そう思います。

涼平:「過程が美しければ、勝っても負けてもいいじゃない」って言い方があるじゃないですか。でも、実際は結果が大事なことに変わりはないというか、本人が満足できる結果が得られなかったら、過程が美しいとは思えないと思うんです。だからこそ時には逃げることも必要だし、どんな形であれ頑張っている人の背中を押せる曲になったんじゃないかなと。

ーー「With You」は〈失った物を幾つ/数えても戻らない〉というラインからはじまるミディアムチューン。

慶太:この曲は涼平くんが撮影のときに話していたことがきっかけで生まれた曲です。ライブがなくなったことについて話してたんですけど……何て言ったか、覚えてる?

涼平:うん。デビューしてから毎年ライブツアーをやってきたんだけど、この2年間、それが一気になくなって。自分たちもそうだけど、当たり前のように過ごしてきた夏がきれいになくなってしまって、辛い思いをしているファンも多いんじゃないかなと思って。それを曲に落とし込めないかなって、慶太くんに話したんです。ネガティブな方向にはいきたくなかったから、その辛さを背負いつつも、前に進める曲にできたらなって。

ーーたしかにw-inds.は、ライブの現場でファンとつながってきたグループですからね。

慶太:そうですね。w-inds.のライブを観ることを一つの生きがいにしてくれている人も少なからずいると思うし、僕たちとしても「申し訳ない」という気持ちや「今はしょうがない」という部分もあって。「With You」はその思いを音楽に乗せた感覚ですね。

ーー2人のリアルな感情を込めつつ、ラブソングのようにも聴こえて。

慶太:それも意識しましたね。もちろん僕たち自身のテーマはあるんだけど、いろんな人がそれぞれの状況に合わせて聴ける曲にしたかったので。

w-inds.(写真=藤本孝之)

ーー「Show Me Your Love」も、愛に溢れたメッセージが感じられる楽曲です。

慶太:今って、足の引っ張り合いも多いような気がしていて。もうちょっとみんなで手と手を取り合って過ごそうよっていう歌詞ですね。 ……それにしても僕はいつからこんなにピースな人間になったんだろう?(笑)。

涼平:(笑)。でも、こういう時代になってから、言い争いの場面を見ることが多くなっているからね。

慶太:そうなんだよね。それぞれに生き方や考え方があるのに、それを否定し合うのはどうなんだろう? と思うこともあって。それがこの曲につながっているところもあります。

涼平:愛を持って人と接することって、やっぱり大事だと思いますね。

ーー「Little」は美しいシンセとミニマムなビートがすごく気持ち良くて。歌詞は“身近にある幸せ”がテーマ?

Little(Lyric Video)/ w-inds.

慶太:はい、幸せの価値観について歌ってみたくて。以前からずっと感じていたことなんですけど、ようやく曲にできました。

ーー幸せの価値観というと?

慶太:まずデビューすることが目標だったんですけど、デビューしてみたら、違う欲が出てきて。それを叶えたら、また違う欲が出てきて。20代の半ばくらいに「俺はいつになったら幸せになれるんだ?」って本気で考えたことがあるんです。

涼平:苦悩だね(笑)。

慶太:そうそう(笑)。「これ、一生満たされないんじゃないか?」って。そうやっていろいろ考えていくなかで、「自分が求め過ぎているのかもしれない」と思うようになったんです。欲を叶えるよりも、小さいところに幸せを感じられるほうがいいんじゃないかなと。たとえば僕が一生懸命に活動して、大勢の前でライブをやって、お金をたくさん稼いだとするじゃないですか。それよりも、ぜんぜん働いていなくても幸せだと感じている人のほうが満たされているんじゃないかなと思うようになって。それからは日々の中で幸せをみつけることができるようになったし、心がラクになったんですよね。その感覚がずっと忘れられなくて、「いつか曲にしたい」と思っていたんです。人間は欲深いけど、こういう考え方もあるよって。

ーー涼平さんも幸せの価値観について考えたことはありますか?

涼平:いやー、どうですかね。

慶太:そういうこと思わなそう、涼平くん。

涼平:そうだね(笑)。そこまで考えないかも。

慶太:僕、よく人に「考えすぎだよ」って言われるんだよね(笑)。

涼平:(笑)。リハも楽しくやっているし、本番も達成感があるので。

慶太:でも、「もっとうまくなりたい」って思うでしょ? その時点で次の欲が出てるんだよ。

涼平:まあね。人間は欲深いですよ(笑)。

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