フジファブリック「若者のすべて」はなぜ普遍的な名曲に? 『MUSIC BLOOD』出演に向けてバンドの歩みを考察

「若者のすべて」はなぜ普遍的な名曲に?

 フジファブリックが12月3日放送の音楽番組『MUSIC BLOOD』(日本テレビ系)に出演し、代表曲「若者のすべて」をこの日だけの特別バージョンで披露する。

 今回のパフォーマンスには、2009年12月に逝去し、ほぼすべての楽曲の作詞作曲を手がけてきた志村正彦(Vo/Gt)の母校・山梨県立吉田高等学校の音楽部員も参加。メンバー自身の提案で14年前の志村の歌声も加え、時代と世代を超えたコラボレーションが実現するというわけだ。

 田中圭、千葉雄大がMCを務める『MUSIC BLOOD』は、毎週1組のアーティストをゲストに迎え、音楽に衝撃を受けた経験、ルーツや影響を受けたアーティストについて、トーク&ライブで紐解く音楽番組。千葉はフジファブリックのファンであることを公言、田中が出演した舞台『芸人交換日記』では「若者のすべて」が使用されるなど、フジファブリックとの縁も深い。さらに過去の放送でも、Awesome City Clubが「夏のエモい曲」として「若者のすべて」を、Saucy Dogが「好きな上京ソング」として「茜色の夕日」を挙げるなど、様々なアーティストを通してフジファブリックの魅力を伝えてきた。「若者のすべて」の貴重なパフォーマンスがこの番組で披露されるのは、必然と言っていいだろう。

 2007年11月、アルバム『TEENAGER』の先行シングルとしてリリースされた「若者のすべて」は、夏の終わりの雰囲気を描いたミディアムチューン。時を刻むように進むビート、郷愁を誘うメロディ、“切ないサイケデリア”と称すべきサウンドが響き合うアレンジを含め、発表から14年が経った現在もフジファブリックの代表曲として根強い支持を得ている。

 「若者のすべて」の根底にあるのは、どうしようもなく過ぎ去ってしまう時の流れ、そして、そのなかで生まれる感傷や後悔、未来に対する微かな光だ。それを象徴しているのが、〈最後の花火に今年もなったな/何年経っても思い出してしまうな〉というサビのラインだ。大切な人との出会い、かけがえのない経験もやがて過ぎ去り、記憶や思い出となって色褪せていく。時間の流れの中にしか存在できない人間の本質を叙情的に映し出す「若者のすべて」が、今もなお多くのリスナーを魅了し続けているのは、この楽曲が普遍的なテーマを捉えているからだろう。

フジファブリック (Fujifabric) – 若者のすべて(Wakamono No Subete)

 「若者のすべて」は音楽ファンのみならず、数多くのアーティストからも高く評価されている。櫻井和寿がボーカルを務めるBank Bandをはじめ、藤井フミヤ、槇原敬之、柴咲コウ、アイドルネッサンス、私立恵比寿中学などがカバーしていることも、この曲が幅広いリスナーに浸透している理由だ。

 もちろん現在のフジファブリックにとっても、「若者のすべて」は重要な曲で在り続けている。ライブでの演奏はもちろん、2017年12月に放送された音楽番組『TOKYO SESSION-Rockin’ Gambler-』(フジテレビ)で山内総一郎(Vo/Gt)が奥田民生、斉藤和義とともにこの曲をセッション。また、2019年8月に初めて『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演した際もこの曲を披露し、生前の志村の映像を重ねたパフォーマンスは、放送直後から大きな反響を集めた。高校の音楽の教科書に「2000年代を代表する楽曲」として掲載されるなど、若い世代にも受け継がれている「若者のすべて」は、今や日本のポップスの歴史に刻まれる名曲として認知されていると言えよう。

 前述したAwesome City Club、Saucy Dog以外にも、Official髭男dism、sumika、マカロニえんぴつ、フレデリック、Cody・Lee(李)など、フジファブリックに対するリスペクトを公言するバンド、アーティストは枚挙にいとまがない。また、緑黄色社会、キュウソネコカミ、ネクライトーキーといったバンドの主催イベントに呼ばれることも多く、下の世代の音楽シーンにも大きな影響を与え続けている。

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