個性際立つ4組がステージに残した未来への可能性 『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.2』東京公演レポート

『Enjoy Music!』レコ発 東京公演レポート

 音楽プロデューサー 保本真吾が主催する新人発掘プロジェクト『Enjoy Music!』。10月から11月にかけて、3週連続で配信リリースされたコンピレーション第2弾『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.2』のリリースを記念したライブイベントが、先日開催された『ジョイミューBig Waves Live Tour! in Tokyo & Kobe』だ。その名の通り、東京・新宿ReNYと兵庫・神戸VARIT.で、コンピレーション参加者に各所オープニングアクトを加えたラインナップでパフォーマンス。そのうち、ここでは11月13日に開催され、水咲加奈、SUKEROQUE、坂上太一、そしてオープニングアクトとしてネオンテトラが出演した東京公演の模様をレポートする。

ネオンテトラ

 ReNYのステージに最初に登場したのは広島県出身・関西発の4人組バンド、ネオンテトラ。令和2年結成ということで、まだ結成して1年ほどだが、のっけからそのパフォーマンスには圧倒された。揃いの衣装をまとった4人が、静寂を破って1曲目に鳴らしたのは「らしさ」。いきなり、もりたさやか(Gt/Vo)の迫力ある歌声が空気を変えていく。優しさと力強さと儚さを兼ね備えたような彼女の歌声を、繊細な静けさと轟音による激しさの間をゆらゆらと揺らぐような不思議な感触をもったバンドサウンドが支える。ワルツのリズムの上で伸びやかな歌が広がる「思い出になる前に」から、唯一の男子メンバーである二川(Gt)のOasisばりのスケールの大きなギターがさらなるエモーションを生み出していく「光」へ。

 ネオンテトラはこれが東京で初めてのライブだったらしく、もりたがここまでの道のりを感慨深そうに振り返る場面も。最後に演奏された「ペトリコール」は、そんな思いもすべて乗せた名演だった。ドラムとギターが景色を描き出し、切なくも透明な歌がそこに色をつけていく。ネオンテトラは次回のコンピレーションに参加予定とのことで、今から楽しみに待ちたい。

坂上太一

 そんなオープニングアクトを経て、メインアクト1組目は坂上太一。愛知県出身のシンガーソングライターだ。ただし、いわゆる「シンガーソングライター」といったときに浮かぶイメージと、彼のパフォーマンスはだいぶ違う。トレードマークでもある12弦ギターを手に取ると、弦を爪弾きながらギターのボディを叩く。音と戯れるのが何よりも楽しいというような表情を浮かべながら、旋律とリズムを生み出していく坂上。客席に手拍子を求めて一体感を生み出しながら、「愛の子供たち」からライブがスタートした。「サンキュー! 『ジョイミューBig Waves Live Tour!』にようこそ!」。そんな挨拶から「この日に欠かせない1曲を」と、コンピに収録された楽曲「You & I」へ。「あなたと私は同じものでできている」というメッセージを込めたエモーショナルな1曲は、音源で聴くよりも数倍すごかった。

 まさに全身全霊という言葉がぴったりの鬼気迫るパフォーマンスを展開していく坂上だが、ステージから放たれるバイブスは、むしろ人懐っこさを強く感じさせるところが不思議だ。6弦ギターに持ち替えての「心に耳を澄ませば」ではものすごい声量の歌で観客を圧倒し、「I’m a man」ではディープなブルースソウルのフィーリングで踊らせる。曲ごとにさまざまな色を持ちながら、それを坂上太一という「人間」が背骨として貫いているという感じだ。来年2月に名古屋ダイアモンドホールで開催されるワンマンライブの告知をすると、最後は「争いを知る花」へ。コーラスも自分で重ねた渾身のパフォーマンスが、ひときわ大きなスケールで鳴り響いた。

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