桑田佳祐、5年ぶり『ベストアーティスト』出演 テレビを通して届けたポップスの華やかさと歌の力

桑田佳祐『ベストアーティスト』で届けた歌の力

 やはり桑田佳祐には、お茶の間がよく似合う。

 桑田佳祐が11月17日放送の音楽特番『ベストアーティスト2021』(日本テレビ系)に出演し、「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」(ユニクロ「ジーンズ」TVCMソング/Netflix映画『浅草キッド』主題歌)、「SMILE~晴れ渡る空のように~」(民放共同企画「一緒にやろう」応援ソング)をテレビ初披露。新作EP『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』のリリース、全国アリーナツアーの開催(9月~12月)など充実した活動を続けている桑田は、5年ぶりの出演となった「ベストアーティスト」でも“これぞ日本のポップス!”と呼ぶべき圧巻のステージを見せつけた。

 まずは「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」。“令和の歌謡 ソウル・ポップス”というテロップ、司会をつとめる櫻井翔の「日本の歌謡曲へのリスペクトを込めた新曲」というMCに導かれ、金色のスーツを身に付けた桑田とバンドメンバーが登場。イントロに合わせた振り付け、ミラーボールの眩い光とともに、〈逢いたくて 恋しくて/死ぬほど好きなあなたに〉と歌い出した。しっかりカメラに目線を合わせ、視聴者にアピールする姿はまさに千両役者。ソウルミュージックの華やかさと歌謡の切なさが響き合うこの曲は、テレビというメディアによく映える。さらに間奏パートで“One more!”とシャウトし、渋めのブルースハープを響かせるなど、臨場感たっぷりのステージを展開。9月から始まった全国アリーナツアーで作り上げてきた、バンドメンバーとの一体感も素晴らしい。

 「SMILE~晴れ渡る空のように~」では、イントロに合わせて桑田、メンバー全員が手拍子で視聴者を引き込む。この曲では派手な演出を控え、歌詞に込めた思いを丁寧に紡ぎ出し、画面の向こうのリスナーに手渡した。〈世の中は今日この瞬間(とき)も/悲しみの声がする〉と歌うときの真摯な表情、〈Whoa-oh-oh-oh〉と右の拳を突き上げるシーン、〈心折れないで/でなきゃモテないじゃん〉と呼びかける際のはにかむような笑顔も印象的。まだまだ先が見えない社会のなかで、必死で生きる市井の人々に力と笑顔を与えるーーそんな“歌”の力を改めて実感できるパフォーマンスだった。

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