King Gnuのカオティックなサウンドを生み出す常田大希のギタープレイに注目
「邦楽はめちゃくちゃ研究しましたね。(井口)理がそっち系のシンガーというか、例えば「Sympa」でいうと「The hole」や「Prayer X」みたいな曲がしっくりくるんですよ。そうやって俺の声と理の声を使い分けるというか、自分たちの特性みたいなものを客観的に見極める力が1stアルバムの『Tokyo Rendez-Vous』よりもついてきたと思いますね」(※4)
フレーズそのものはシンプルで王道。それを変拍子や転調などを散りばめつつパッチワークのように組み合わせることで、オリジナルな世界観を確立してきたKing Gnu。清濁併せ持つそのカオティックなサウンドの「濁」の部分を主に担っているのが、常田のギターだ。
例えば10月15日に先行配信されたKing Gnuによる3作目のシングル「BOY」では、跳ねるようなリズムに乗せてワウをかました常田のファンキーなギターが「隠し味」のようにリズムを刻んでいる。が、ギターソロになるとひしゃげたようなファズサウンドでもって、それまでのバロックポップ風な雰囲気を一変させているのが分かるだろう。さらに後半ではワーミー(と思しきエフェクト処理)を駆使したフリーキーなギターソロを炸裂させ、エモーショナルに締めくくる。ちなみに2019年2月に配信リリースされた「白日」でも、突如挿入されるエグいワウとワーミーのかかったギターソロが、美しい楽曲に強烈なコントラストを生み出していたのが印象的だった。
かと思えば前述した常田の音楽的ルーツが、かなりダイレクトに反映された曲もある。2019年に発表された3作目の配信限定シングル「飛行艇」(『CEREMONY』収録)は、ジミ・ヘンドリックスやKing Crimsonあたりのクラシックロックを彷彿とさせるギターリフが、強烈なインパクトと共に楽曲を牽引していたし、最新アルバム『CEREMONY』のリード曲「Teenage Forever」で聴ける重厚でエッジの効いたギターのディストーションサウンドに、カート・コバーンをオーバーラップさせる人も少なくないだろう。
大衆性と実験性、清と濁を行き来しながら進化し続けるKing Gnu。そのサウンドを時に支え、時に(いい意味で)壊す常田のギタープレイは今後も要注目だ。
(※1)https://www.fender.com/ja-JP/daiki-tsuneta-swinger.html
(※2)『Special Interview | 常田大希、新井和輝(King Gnu)-前編-』https://fendernews.jp/special-interview-king-gnu/?fbclid=IwAR060pftHzCcXZXarw3_hajbUA4dytHX6YzUJGLirBo6yzT13Y1Q8XtaY8A)
(※3、4)https://fendernews.jp/cover-19-kinggnu/