EXILE History 第6回
EXILEの20周年を振り返る 第6回:激動の10周年を経て磨かれていく個々のスタイル EXILE HIROの勇退で新たな未来へ
2001年9月のメジャーデビュー以降、メンバーの勇退や加入を繰り返しながら、音楽シーンの最先端を走り続けている、ダンス&ボーカルグループ EXILE。不動のリーダー EXILE HIROの魂を受け継ぎ、メンバー一人ひとりがボーカルやパフォーマーという枠を越えたマルチな活動を見せている彼らは、昨年11月、最後のオリジナルメンバーであるEXILE ATSUSHIを送り出したことを機に、新生EXILEとして新たな歴史を作り始めている。そして2021年、グループはデビュー20周年のメモリアルイヤーに突入。それを祝し、EXILEのヒストリーを辿りながら、改めてその魅力を紐解くのが本連載(全10回)である。第6回は、デビュー10周年を迎えた激動の2011年から、リーダー HIROがパフォーマーを勇退した2013年までの活動を振り返る。
2001年9月27日に、シングル『Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~』でデビューしたEXILE。EXILE HIRO、松本利夫、EXILE ÜSA、EXILE MAKIDAI、EXILE ATSUSHI、SHUNの6人から成る“第一章EXILE”が残した功績は大きく、20周年を迎えた現在も、EXILE AKIRA、EXILE TAKAHIRO、橘ケンチ、黒木啓司、EXILE TETSUYA、EXILE NESMITH、EXILE SHOKICHI、EXILE NAOTO、小林直己、岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、世界、佐藤大樹という後継者達によって、その輝きは更新され続けている。
2011年、かつて6人でスタートしたEXILEは、HIRO、MATSU(松本)、ÜSA、MAKIDAI、AKIRA、ATSUSHI、TAKAHIRO、KENCHI(ケンチ)、KEIJI(啓司)、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、NAOKI(小林)という14人体制の“第三章EXILE”として、10周年のアニバーサリーイヤーを迎えた。それに伴い、年明けには“5大プロジェクト”を発表。ニューアルバムのリリース、『EXILE LIVE TOUR 2011』と題したドームツアーの開催、劇団EXILEの新公演『劇団EXILE W-IMPACT』の開催、女性ボーカリストを対象としたオーディション『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~』の開催、二代目J Soul Brothersと三代目J Soul Brothersによるライブ『二代目 J Soul Brothers VS 三代目 J Soul Brothers ~EXILE TRIBE~』開催の5つである。その予告通り3月9日には、8thアルバム『願いの塔』をリリース。2010年に発表した「願い」や「掌の砂」(33rdシングル『FANTASY』収録)、2010年1月に発生したハイチ大地震の復興支援チャリティソング「One Wish」といった楽曲に導かれるような作品となった。それからわずか2日後、3月11日に東日本大震災が発生すると、EXILEがテーマに掲げた“願い”は、奇しくも日本全体のテーマへと変わっていった。
コロナ禍でも柔軟な思考で時代に合ったエンタテインメントを生み出し、オンラインライブやトーク配信を通して、全国にエールを送り続けてきたLDHだが、2011年の震災時も、『EXILE魂』(TBS系)で使用した衣装のチャリティオークション開催(落札金はすべて義援金へ)や炊き出しなど、いち早く被災地支援を行っていた。それに加えて、アーティストである自分達にできることとして、EXILEは「〜日本を元気に〜」をテーマに掲げ、チャリティソング「Rising Sun」を制作。同曲と、EXILE ATSUSHI名義のソロデビューシングル曲「いつかきっと…」をパッケージしたEXILE10周年記念シングル『Rising Sun/いつかきっと…』(2011年9月14日)は各種音楽チャートで首位を獲得し、全ての収益が日本赤十字社を通じて被災地に寄付された。
また、音源のリリースは約半年空いたものの、二代目 J Soul Brothersのメンバーたち(KENCHI、KEIJI、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、NAOKI)は6月~8月にかけて、三代目 J SOUL BROTHERS(NAOTO、NAOKI、ELLY、山下健二郎、岩田剛典、今市隆二、登坂広臣)とのライブツアー『二代目 J Soul Brothers VS 三代目 J Soul Brothers Live Tour 2011~EXILE TRIBE~』を行った。神戸ワールド記念ホール7days、さいたまスーパーアリーナ8daysという前代未聞のツアーは全15公演で15万人の観客を動員。“EXILE TRIBE時代”の幕開けを告げるように、SHOKICHIは「僕たちが辿った足あとと、思い出は消えることはありません。そして二代目 J Soul Brothers、『EXILE TRIBE』を未来につなげていく使命があります」(※1)と力強く宣言した。
男性グループが主流となっていたLDHに、カッコよく歌い踊る女性グループが現れ始めたのもこの時期だ。2011年2月には、ダンス&ボーカルグループ Happinessがメジャーデビュー。5月に最終審査が行われた『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~』からは、後にE-girlsの顔となるメンバーたちが誕生し、LDHの未来を華やかに彩った。そして激動の2011年を締め括るように、EXILEは11月~12月にかけて全国ドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2011 TOWER OF WISH ~願いの塔~』を開催。10周年の節目に“現在のEXILEの姿”を届けると、2012年1月1日には、EXILEの9thアルバムとATSUSHIの1stアルバムをパッケージした『EXILE JAPAN/Solo』をリリースし、EXILEにおけるATSUSHIの存在の大きさと、“メンバーの個性を重んじるEXILEの活動スタイル”を改めて示した。正確に言えば、2006年からATSUSHIは精力的にソロ活動を行ってきたのだが、2012年に開催したソロツアー『EXILE ATSUSHI PREMIUM LIVE ~命をうたう~』を経て、彼は「“EXILEのヴォーカルATSUSHI”と、“EXILE ATSUSHIソロ”がしっかりと二つに別れて、それぞれにそれぞれの使命と意味を持たせてあげられるようになった」(※2)と語っており、2012年はEXILE結成時よりグループの顔として活動してきたATSUSHIにとって、ようやくソロとして進むべき方向性が見えた“スタートの年”だったと言えるだろう。