EXILEの20周年を振り返る 第5回:14人体制のスタート 大胆な決断が生んだEXILE TRIBEの原点

EXILEの20周年を振り返る 第5回

 2001年9月のメジャーデビュー以降、メンバーの勇退や加入を繰り返しながら、音楽シーンの最先端を走り続けている、ダンス&ボーカルグループ EXILE。不動のリーダー EXILE HIROの魂を受け継ぎ、メンバー一人ひとりがボーカルやパフォーマーという枠を越えたマルチな活動を見せている彼らは、昨年11月、最後のオリジナルメンバーであるEXILE ATSUSHIを送り出したことを機に、新生EXILEとして新たな歴史を作り始めている。そして2021年、グループはデビュー20周年のメモリアルイヤーに突入。それを祝し、EXILEのヒストリーを辿りながら、改めてその魅力を紐解くのが本連載(全10回)である。第5回は、EXILE第三章が始動し、初のスタジアムツアー『EXILE LIVE TOUR 2010 FANTASY』を開催した2010年までの活動を振り返る。

 2001年9月27日に、シングル『Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~』でデビューしたEXILE。EXILE HIRO、松本利夫、EXILE ÜSA、EXILE MAKIDAI、EXILE ATSUSHI、SHUNの6人から成る“第一章EXILE”が残した功績は大きく、20周年を迎えた現在も、EXILE AKIRA、EXILE TAKAHIRO、橘ケンチ、黒木啓司、EXILE TETSUYA、EXILE NESMITH、EXILE SHOKICHI、EXILE NAOTO、小林直己、岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、世界、佐藤大樹という後継者達によって、その輝きは更新され続けている。

 HIRO、MATSU(松本)、ÜSA、MAKIDAI、AKIRA、ATSUSHI、TAKAHIROから成るEXILE第二章が、数々の偉業を成し遂げた2008年。この先も7人での躍進が続くと思われたが、TAKAHIROが加入して半年経った頃には、HIROからメンバーを増やすことを告げられていたという(※1)。そんな未来を見据えて、2007年1月、HIROプロデュースのもと、EXILEの前身グループJ Soul Brothersの魂を引き継ぐJ Soul Brothers(二代目)が結成された。結成時のメンバーは、EXPG STUDIOのインストラクターを務めながら、EXILES(EXILEの派生ユニットなどの総称)のダンサーとして第1回武者修行に参加していたKENCHI(ケンチ)、KEIJI(啓司)、TETSUYA。『ASAYAN』(テレビ東京系)出身のボーカル NESMITHも、2006年にLDHからソロデビューしたばかりのEXILESで、TAKAHIROを選出した『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』でもファイナリストとなった実力派である。一方のSHOKICHIは、『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』では3次審査敗退となったものの、J Soul Brothers(二代目)のボーカルオーディションに挑戦。バンド活動で磨き上げた歌唱力と音楽に対する情熱が認められ、念願のアーティストデビューを勝ち取った、期待の新星というべきボーカルだった。

 さらに2007年11月には、LDHに所属して以前からダンサーや振付師として活躍していたNAOTOと、J Soul Brothers(二代目)の選出オーディションに落選した後、EXPG STUDIOのインストラクターとして働いていたNAOKI(小林)がパフォーマーとして加入。現在、NAOKIと共に三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのリーダーを務めるNAOTOは、「今でこそ仲良くさせてもらっていますが、当時は本当に分かっていなくて、LDHのルールとかEXILEの魂とかJ Soul Brothersの思いとかを。そういう所は5人の言葉でも行動から伝わってきて、それを感じ取る毎日でしたね。三代目ができた時はそういった思いを伝えていくのが役目だと思っていました」(※2)と加入当時を振り返る。そして、7人体制となったJ Soul Brothers(二代目)は、全国武者修行ツアーの開催やEXILE初のドームツアー『EXILE PERFECT LIVE 2008』に出演するといった下積み生活を経て、2009年2月25日にアルバム『J Soul Brothers』でメジャーデビュー。ケンチが「デビューまで武者修行で頑張るっていう流れは、きっとこの辺で形作られたんじゃないかなと。それが今はLDHの伝統芸みたいになったんですよね」(※3)と語るように、彼らもまた、未来のLDHを背負う一員として新たな伝統を生み出した。だが、EXILE第二章の活動期間と同様に、J Soul Brothers(二代目)が7人で過ごした日々も短く、メジャーデビューから4日後、次なるステージへと向かう。2009年3月1日、EXILEはKENCHI、KEIJI、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、NAOKIを新メンバーに加え、“14人体制のモンスターグループ”としての活動をスタートさせた。

 やっと7人のEXILE第二章が定着したところでの大幅な増員に、もちろん、賛否両論が巻き起こった。メジャーデビューを目指して直向きに活動するJ Soul Brothers(二代目)を応援してきたファンも、複雑な心境でこの発表を受け止めたはずだ。それでも、EXILEは「みんなの夢をかなえる場所」(※4)である。いちアーティストとしての人生の先に、数々の夢を広げるためには、大胆な決断も必要だったのだろう。さまざまな意見が飛び交っていたが、昨年11月23日、LDHが運営する動画配信サービス「CL」内で放送された番組にて、HIROは「いろんな葛藤はあったんだけど、結果20年経ってもドームツアーできるアーティストになれたし、たぶんこの人数になっていなかったら三代目 J SOUL BROTHERSはなかったのかなとか。そうなるとGENERATIONS(from EXILE TRIBE)もそうだし、ここの14人になったところからEXILE TRIBEっていうものが見えて、在り方が生まれたんだろうなっていう感じはありますよね」(※5)と当時を振り返っている。

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