GALNERYUS、新旧楽曲を織り交ぜて提示した“最高”を超える姿 新体制で臨んだ最新ツアーを振り返る

GALNERYUS、最新ツアーレポ

 GALNERYUSが“スペシャルアルバム”と題した最新作『UNION GIVES STRENGTH』を携え、6月27日からスタートさせた全国ツアー『“FIND THE WAY TO OVERCOME” TOUR 2021』を8月12日、新宿BLAZEにて締めくくった。新ドラマーにLEAを迎えたGALNERYUSは、昨年10月に初の配信ライブは行っていたものの、新編成での有観客ライブはこのツアーが初めて。コロナ禍以前とはまったく異なる状況下ながらも、全国9カ所10公演を無事成功させた。

 ライブは新作同様、「THE HOWLING DARKNESS」から激しくスタート。10分近くにおよぶこの長尺曲をオープニングに持ってくるあたりに、GALNERYUSの強いこだわりが伝わる。メロディックデスメタルから影響を窺わせる冒頭のインストパートでは、はやくもSYU(Gt)節満載のメロディアスなギターフレーズが炸裂。小野“SHO”正利(Vo)が加わるまでに3分近くものインストパートが繰り広げられるが、いざボーカルが入ると途端にクラシカルなテイストを散りばめたヘヴィメタルが展開されていく。要所要所でLEAが繰り出すブラストビートが良いアクセントとなり、またグルーヴィーなTAKA(Ba)のベースライン、キラキラした音色で楽曲を彩るYUHKI(Key)のキーボードが加わることで、この大作をまったく飽きさせることなく聴かせていく。小野の伸びやかなボーカルはもちろんのこと、SYUのドラマチックなギターソロも楽曲が持つ壮大さをより広げていき、気づけばあっという間にこのオープニングナンバーはクライマックスへ。楽曲本来の魅力のみならず、演者側の表現力、技術の高さに早くも圧倒されてしまう。

 バンドはそのまま、新作と同じ流れで「FLAMES OF RAGE」「HOLD ON」へとつなげていく。「FLAMES OF RAGE」も9分超の長尺曲だが、「THE HOWLING DARKNESS」以上にブルータルさとメロディアスさが共存した、これぞGALNERYUSという1曲。緩急に富んだアレンジと、豪快さと繊細さを兼ね備えた小野のボーカルとが相まった、GALNERYUS流王道メタルが高らかに鳴り響く。

 一方、「HOLD ON」は80年代のAORやプログレハードを思わせるシンセのフレーズが印象に残る、キャッチーなハードロック。前2曲のアグレッシヴさとは一線を画する軽やかさが非常に魅力的な1曲だ。この新曲3曲の仕上がりおよび演奏の素晴らしさからも、今のGALNERYUSが非常に好調だということが理解できたことだろう。その後は「MY LAST FAREWELL」「A FAR-OFF DISTANCE」と懐かしい初期のナンバーを連発。GALNERYUSのファンだったというLEAだが、こういった楽曲を楽しそうに、時に口ずさみながらドラムを叩く姿が非常に印象に残った。

 難易度の高い楽曲群をストイックに表現し続けるライブ中とは異なり、MCでは小野を中心に和やかなトークが繰り広げられるのもGALNERYUSのライブの魅力だろう。呼吸をするのを忘れてしまうくらい集中して、歌や演奏に見惚れていたが、会場の換気も含めた長めのMCではクスッと笑ってしまうことが何度もあった、というオーディエンスも少なくないはずだ。

 その後、「DEEP AFFECTION (2021 Re-Recorded Version)」「EVERLASTING (2021 Re-Recorded Version)」と最新作で再レコーディングされた初期ナンバーからライブ再開。この2曲は原曲制作時メンバーがすでにSYUとYUHKIしか残っていないものの、小野やTAKAがこれまでライブで築き上げてきた安定感にLEAのフレッシュさが加わり、よりエネルギッシュな楽曲に進化していることが確認できた。さらに、「BLEEDING SANITY」「SEE THE LIGHT OF FREEDOM」「WHATEVER IT TAKES (Raise Our Hands!)」と最新作からの新曲群が立て続けに披露されると、会場内の熱気もよりいっそう高まっていく。全員がマスクを着用し、声を出せないという環境ながらも、ビートにあわせて拳を上げたりメロイックサインを掲げる観客の姿からは、「今この空間を誰よりも楽しんでいる」というポジティブさとともに会場後方から観ていた筆者にも伝わってきた。

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