中島美嘉、秋元康との再タッグで開いた新たなラブソングの扉 「STARS」「WILL」などデビュー期の歩みとともに考察

中島美嘉、秋元康との再タッグで開く新たな扉

 2021年。そんな中島美嘉の20年間を語る上で欠かすことのできない秋元康とのタッグが再び実現。しかも今回は秋元が企画も原作も脚本も手掛けているドラマ『漂着者』の挿入歌である。よって「知りたいこと、知りたくないこと」はドラマのシナリオとも深くシンクロしていくよう作詞が手掛けられており、不可解な事件を描くミステリー作品である『漂着者』の視聴者にとっては考察し甲斐のある楽曲でもあった。例えば〈不都合な記憶失って/運命の残骸を涙で洗い流すでしょう〉というフレーズは、斎藤工演じる記憶喪失の主人公・ヘミングウェイと彼の周りで起きていく事件やその被害者のストーリーを想起させ、例えば〈できるならこのままで 命尽きればいいけど/窓の外 白んだ頃 身体だけ死んだら困るでしょう〉というフレーズは、最終回の壮大なラストシーンを連想させたりと、実にミステリアス。

 これは、90年代後半の名作『眠れる森』(フジテレビ系)の主題歌である竹内まりや「カムフラージュ」に様々な推理のヒントを散りばめた手法とも近しく、往年のミステリーファンやドラマフリークからしても堪らない演出だったことだろう。とはいえ「カムフラージュ」がそうであったように「知りたいこと、知りたくないこと」も本質は聴く者の胸を時に切なくさせ、時に愛しさを膨らませるラブソング。実際、ドラマ内の主人公と白石麻衣演じるヒロイン・新谷詠美の恋愛模様を描くシーンでオンエアされていた印象も強かった。感情的でありながら幻想的、直接的なようで難解、力強いようで儚いラブソング。これだけ多角的な表現を求められ、多角的な視点で捉えられる楽曲を見事に歌い上げられたのは、これまで20年の音楽人生の中であらゆる愛の歌と対峙し、そして切実なる想いで熱唱してきた中島だからこそ。

 個人的には、当時まだ18歳の少女だった中島美嘉の魅力を引き出してみせた秋元康が、あれから20年後の彼女へ贈るプレゼントのようにも感じられる1曲だった。「STARS」や「WILL」を愛聴してきた人たちにも「知りたいこと、知りたくないこと」はぜひ聴いてもらいたい。

中島美嘉 『知りたいこと、知りたくないこと』 Music Video

■シングル情報
中島美嘉『SYMPHONIA / 知りたいこと、知りたくないこと』
10月27日(水)リリース
・初回盤(DVD+CD)¥1,800
・通常盤(CD)¥1,300
<収録内容>
CD
1.SYMPHONIA
2.知りたくないこと、知りたくないこと
3.SYMPHONIA -instrumental-
4.知りたいこと、知りたくないこと -instrumental-

初回盤特典DVD
1.SYMPHONIA MUSIC VIDEO
2.知りたいこと、知りたくないこと MUSIC VIDEO
3.アニメEDノンクレジット映像

中島美嘉 オフィシャルサイト

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