斉藤和義×WOWOWオリジナルライブ スタジオライブ、オリジナルギター作り……歌うたいとしての名演

最後で思い知らされる歌うたいとしての名演

 そんな調子で番組は進む。「ベリー ベリー ストロング~アイネクライネ」を情熱的にプレイしたかと思えば、ピックアップについてのこだわりを語り、「青空ばかり」を爽やかに響かせたかと思えば、穴あけ工具の扱いの難しさを切々と語り、アコースティックギターをかき鳴らしながら「I Love Me」を軽やかに歌い上げたかと思えば、「ギンゴ」と名付けられたオリジナルギターへの愛着を熱く語り……トークのテンションは引き続き決して高くないが、本当に細かい部分にまでこだわり抜いて斉藤がギターを作っていることが伝わってくる。

 「一緒なふたり」「オートリバース~最後の恋~」とメロウな曲のじんわりと温かな名演を経て、話題は斉藤がいちばん最近作ったという真っ白なオリジナルギター「白鯨」へ。「音はいいけど、何を弾いてもしっくりこない」というまさかの発言も飛び出すが、要するにギタリスト、ソングライターとしての自分とは別のところで、ギタービルダーとしてのクラフトマンシップが炸裂しているということなのだろう。

 そんな話の流れで、特に結論などもないまま「斉藤工務店」パートは終了。しかしその後、最後に弾き語りで披露された「ハミングバード」がすべてをねじ伏せてしまった。ギターに対する愛情も、ちょっと微笑ましくなるようなゆるいトークもいいが、この曲のブルースハープの豊かな響き、ギターの弦の震える音、そして歌は、何よりも斉藤和義というアーティストを伝えていた。やはり彼は歌うたいなのだと、最後の最後で改めて思い知らされるような名演。本当に素晴らしかった。

■番組情報
『斉藤和義 スタジオライブ&斉藤工務店』
10/26(火)よる7:00 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
※放送終了後~2週間アーカイブ配信
https://www.wowow.co.jp/detail/171142

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