斉藤和義、“幻のセットリスト”をついに披露 観客を感動の渦に巻き込んだ中野サンプラザ公演

斉藤和義、“幻のセットリスト”をついに披露 観客を感動の渦に巻き込んだ中野サンプラザ公演

 3度目の緊急事態宣言中の2021年4月27日、斉藤和義が東京・中野サンプラザホールでワンマンライブ『KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2020 “202020” 幻のセットリストで2日間開催!〜万事休すも起死回生〜』を開催した。

 昨年(2020年)予定されていた全国ツアー『KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2020 “202020”』は全公演が延期。“幻になりかけていた、アルバム『202020』を中心としたセットリストを披露する”というテーマで企画されたのが今回のライブだったのだが、またしても緊急事態宣言が発令され、ライブは中止の危機にさらされることに。国や都と協議を重ねながら、初日(4月27日)は予定通り行い、2日目(4月28日)は同じ会場でライブの模様を収録し、5月1日〜7日にかけて配信することが決まった。

 緊急事態宣言の期間中(4月25日〜5月11日)は、都内のほとんどのコンサートは延期もしくは中止に。今回の公演は、“キャパの50%の観客”“徹底した換気”はもちろん、あらゆる状況を想定しながら、慎重に慎重を重ね、万全の対策のもとで行われた。多くの音楽ファンからは「斉藤和義、ライブやるのか! すごい!」という称賛の声が上がったが、それ以外の人たちのなかには「本当に大丈夫なのか?」と言う疑念もあっただろう。ここで記しておきたいのは、会場には徹底した感染予防が施され、観客もマスク着用、声出し禁止を完璧に順守していたこと。そして、斉藤和義とバンドメンバーが、極上のビンテージ感に溢れた演奏と生々しい感情をたたえたボーカルを響かせ、会場に足を運んだ心ある音楽リスナーを感動の渦に巻き込んだという事実だ。

 ライブのオープニングは、「傷だらけの天使」(井上堯之バンドによるドラマ『傷だらけの天使』テーマ曲のカバー)。さらにソウル、ファンク、ロックンロールが絡み合うバンドサウンドと〈もう終わりだ 万事休す〉というシャウトが響き合う「万事休す」、タイトな8ビート、印象的なギターリフとともに、保身とスマホのなかに埋没する人々を描いた「アレ」とアルバム『202020』収録曲を立て続けに披露。マスクを付けた観客は、長い長い拍手で感謝とエールを表現していた。

 「ヘンな感じですね。久しぶりすぎて……お元気でしたか?」「感染対策もして、検査も受けて、イッてまえ! ってことでね(笑)」「すごいすごい楽しみにしてたので、皆さんも楽しんで」という挨拶の後も、アルバム『202020』の曲を中心に展開。「いつもの風景」(アニメ『ちびまる子ちゃん』エンディング主題歌)、牧歌的な旋律と裏打ちのビートが絡み合い、〈君の猫になりたい〉という自堕落で美しい願望を描き出す「I want to be a cat」、フォークロック〜初期ビートルズ的な音響のなかで、大切な人に〈このまま旅を続けよう〉と語り掛ける「猫の毛」、そして、うっとりするような切ないメロディに乗せて、愛する人との別れと喪失感が広がる「オートリバース〜最後の恋〜」。何でもない日常の素晴らしさ、人と人との繊細な関係性を映し出す歌を聴いているうちに、大切な日常が消えてしまったこの1年のことが頭をよぎり、やるせなさと憤りが心のなかで混ざり合ってしまった。

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