日向坂46、力強いパフォーマンスで交わした新たな約束 『全国おひさま化計画 2021』ファイナルでの挑戦と集大成

日向坂46が交わした新たな約束

 ライブのクライマックスにふさわしい「JOYFUL LOVE」では、会場一面がペンライトで虹色に染まる。可動ステージに乗ってパフォーマンスするメンバーは、ダブルセンターの渡邉、上村を筆頭に全員がこの日一番の笑顔を客席に届けていく。そして、不穏なSEに続いて会場が真紅の照明で染まると、新衣装に着替えたメンバーが登場。ライブ本編ラストを飾る1曲として最新ナンバー「ってか」を、これまで以上に激しいダンスとともに披露した。ここまで圧倒的な運動量で観る者を圧倒させてきた日向坂46だが、最後に選ばれたこの曲のダンスは過去一番と言えるほどの激しさを誇るもので、歌声に入り混じった激しい呼吸からもその激しさは十分に伝わる。しかし、ステージ上の21人はそんなことをまったく感じさせないほど力強い歌とダンスを届けることで、センターの金村をはじめグループとしての成長を改めて感じさせた。最後は佐々木久美の「皆さんの前でこうして新しい曲をどんどんパフォーマンスさせていただけるのも、いつもおひさまの皆様が温かい目で見守ってくださるから」と感謝の言葉を告げて、ステージをあとにした。

金村美玖

 アンコールは「ソンナコトナイヨ」からスタート。ツアーTシャツに着替えたメンバーは、センターの東村芽依を中心に情熱的なパフォーマンスを届けていく。続くMCでは、松田が前日公演の終演後に「客席に降りて、客席から自分がどう見えているかを確認した」と言い、「今日はちょっと意識的に、ひとりでも多くの方と目を合わせたりできるように頑張ってみました」と口にする。また、上村は「アイドルは皆さんに笑顔をお届けするお仕事。本当に素敵なお仕事だなということをツアーを通じて感じましたし、逆におひさまの皆さんからも笑顔をたくさんいただいちゃって。この輪をずっとつないでいけたらいいなと思いました」と感慨深げに語る。

 その後、佐々木久美から「嬉しいはずのお知らせが!」と、12月24、25日に幕張メッセ国際展示場9~11ホールにて『ひなくり2021』が開催されることを発表し、客席からは盛大な拍手が送られた。続けて、「こんなにツアーもやらせていただけて、『ひなくり』も決定して、こういう時代に活動できているのは本当に幸せなこと。誰のせいでもないんですけど、毎週のようにライブや握手会で会っていたおひさまの皆さんと急に会えなくなってしまって、こんなにおひさまの存在って大事だったんだなと、この自粛期間に改めて実感しました」と話し、「ツアー自体、日向坂46になってから初めてやらせていただくことで、ライブも全然やっていなかったので、体力面とかみんなの気持ちがなかなかひとつになれなかったり、個人的には『このツアー、大丈夫かな?』という気持ちもあったんですけど、いろんな場所でおひさまの皆さんに会って、おひさまの皆さんがいる空間を通してメンバーもひとつになっていった気がして、このツアーができてよかったなと本当に改めて思います」と本音を吐露した。

 さらに2019年の『ひなくり』で発表され、今日まで延期が続いていた東京ドーム公演についても触れ、「なぜ今回『ひなくり2021』を幕張でやらせていただくかというと、こういう状況がまだ続いている中では限られたおひさまの皆さんとしか時間を共有できないのではないかということで、幕張メッセでやらせていただくことになったんです。もちろん“夢の場所”を諦めたわけではなくて、最近おひさまになってくださった方も、ずっと私たちを見守ってくださっている方も、みんなで夢を叶えたいという気持ちで、今回は幕張メッセで『ひなくり』をやらせていただきます」と説明する。続けて、「ここにいるのは21人なんですけれども、約束のあの場所でライブをするときは(小坂を含む)全員が揃って、みんなで力を合わせてあの景色を見られたらいいなと思います」と新たに宣言し、“約束の卵”=東京ドームへの思いを込めて「約束の卵2020」を歌唱。この曲の歌詞が改めて強く響くこととなり、中には瞳を潤ませるメンバーの姿も。その涙は厳しい状況下でアリーナツアーをやり遂げた達成感からか、東京ドームまであと一歩というところで今回も実現できなかった悔しさからなのか……メンバーによってその思いも異なるかもしれないが、観る側にとってもこれまでで一番エモーショナルに響く「約束の卵2020」だったのではないだろうか。

 すべてのパフォーマンスを終えると、最後に佐々木久美が「ここに来てくださったおひさまの皆さん、そして配信で観てくださっている画面の前の皆さん、本当におひさまのことが大好きです! また絶対ライブにも来てほしいですし、私たちのことをこれからもいっぱい褒めてくれたら嬉しいです」と挨拶して、2時間半にわたる全国ツアー最終公演は大成功のうちに幕を下ろした。

 コロナ禍の状況が、少しずつではあるが良い方向に動き始めているタイミングだったこともあり、2年越しの東京ドーム公演が2021年内に実現するのではないかーー筆者のみならず、そう確信していたおひさまは少なくなかったはずだ。しかし、視点を変えれば日向坂46の物語はさらにドラマチックなものになったとも言える。東京ドームの舞台に立つ頃には日向坂46のメンバーもさらに成長しているはずだし、彼女たちの勇姿を東京ドームで目にしたときには、きっと感動・感激もさらに強いものになっているはず。今はツアーを終えたばかりの彼女たちに惜しみない拍手を送りながら、“約束の卵”にたどり着く日を信じて待ちたい。

■セットリスト
日向坂46 アリーナツアー『全国おひさま化計画 2021』
2021年10月20日(水)愛知県・日本ガイシホール
01. NO WAR in the future 2020
~OVERTURE~
02. 青春の馬
03. アザトカワイイ
04. キュン
05. My fans
06. ドレミソラシド
07. 声の足跡
08. こんなに好きになっちゃっていいの?
09. 何度でも何度でも
10. 酸っぱい自己嫌悪
11. 世界にはThank you!が溢れている
12. 君しか勝たん
13. 膨大な夢に押し潰されて
14. キツネ
15. 誰よりも高く跳べ!2020
16. JOYFUL LOVE
17. ってか
<アンコール>
18. ソンナコトナイヨ
19. 約束の卵2020

日向坂46 公式HP

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