石井恵梨子のチャート一刀両断!
Snow Man、1stアルバムが記録的数字でチャート首位に 歌とトラックの完璧なバランスが織り成す“新時代の決定打”
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-10-11/
4週前に取り上げたV6を「平成=新時代を担う役割」だったと書きました。偶然ではなく、必然と言いきるくらいの自覚をもって、今週俎上に載せるグループが「令和という新時代」を担っていくのでしょう。Snow Man。1stアルバム『Snow Mania S1』が今週の1位です。そのセールスたるや、なんと、初週で84.1万枚! ジャニーズの中でも驚異的な売上を誇っていた嵐の、休止前のアルバム『This is 嵐』が初週70万枚だったといえば、この数字のとんでもなさがよくわかると思います。
昨年1月にデビューしたSnow Manは、ジャニーズには珍しい9人組グループ。ただし前身のMis Snow Manから数えればキャリアは相当長く、2010年から舞台『滝沢歌舞伎』シリーズなどで本格的な活動を続けています。名付け親も滝沢秀明で、これまでジャニー喜多川氏から「YOUたちに素敵な名前を!」とグループ名を授かってきた歴代先輩たちとは違う背景を感じさせます。舞台経験が長いぶんダンスの技術はジャニーズJr.のなかでもピカイチとの下馬評。長らく爪を研いだ日々は、このアルバムを最も輝かせるために必要だったものかもしれません。
なぜなら、いまや誰の目にも明らかな時代の変節があります。長新興勢力と呼ぶには品揃えのありすぎるK-POPグループの台頭の中で、「王道のジャニーズ」を守るだけでは次の一手は見出せない。これは長い時間をかけてスタッフチームが考えてきたテーマではないかと思われます。
王道のジャニーズ。アルバムの中では「Be Proud!」などがそれに該当します。聴くだけで元気が出る力強いポップソング。イントロで鳴っているのはエレキギター、ベース、ドラム、ピアノ(もしくはキーボード)です。生のバンドサウンドはこれから始まる舞台を期待させつつ、歌が入る瞬間スッとボリュームを下げています。主役は歌。そして前向きな歌詞。Aメロ→Bメロと曲はぐんぐん上昇気流に乗り、サビで最高のハイライトがやってきます。これはジャニーズに限らずJ-POPスタンダードと呼ぶべき構成です。
最新シングル曲「HELLO HELLO」はどうでしょう。イントロは気品あるストリングス。王子様がこちらの存在に気づいてくれた、という感じの歌詞はリスナーのハートを直撃するもので、歌、言葉で耳を惹きつけていく甘酸っぱいラブソングですね。ただ、歌が入るタイミングで主張が始まるのは4つ打ちのキック。音のボリュームを絞ると余計わかるのですが、歌とキックがほぼ同じくらい大事にされています。ビートは伴奏にあらずというか、歌唱とビートとトラックが三位一体に溶け合っている構成であることがよくわかります。