Snow Man、大人数グループで成功を掴めた理由は?

 Snow Manが9月29日にリリースした1stアルバム『Snow Mania S1』が発売初週で84.1万枚を売り上げ、オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得。同ランキングで今年度最高の初週売り上げを記録した。男性アーティストの1stアルバム初週売り上げでも、2001年11月のCHEMISTRY『The Way We Are』(114.3万枚)に続いて歴代2位。CDを取り巻く環境の変化を踏まえればこの数字がいかに驚異的であるかがわかるだろう。

Snow Man
Snow Man

 2020年1月22日、SixTONESと2組同時デビューを果たしたSnow Man。ジャニーズJr.内ユニットとして2012年に岩本照、深澤辰哉、渡辺翔太、阿部亮平、宮舘涼太、佐久間大介の6人で結成。その後2019年1月に向井康二、目黒蓮、ラウールが加入し、現在の9人体制となった。

 女性グループでは、大人数というのはけして珍しくない。48グループ・坂道シリーズを筆頭に、数十人の中から選抜メンバーを定めリリースごとに活動するというスタイルが根付いている。2010年代から活発になったこの選抜制は、大人数でありながらもメンバー個人に注目し応援するファンを増やし、グループの支持へとつなげる仕組みづくりに成功した。一方、男性グループは5、6人程度の固定人数・メンバーで構成されることが多い。嵐が国民的グループの地位に上り詰めたように、メンバー個人の魅力はもちろん、それぞれの関係性の上に成り立つグループのあり方がそのままグループの魅力や人気に直結している。

 人数の多さは、特にダンスにおける迫力や演出バリエーションなどパフォーマンス面で武器になる。しかし、個人の魅力を知るところまでたどり着くのが難しく、個性の異なるメンバーが多く集まるほどグループ独自のカラーを作り出し、打ち出していくのは容易ではない。大人数グループがブレイクするためには、よりメンバー一人ひとりを輝かせるための工夫とメンバー全員のグループに対する意思統一が必要になりそうだ。9人組であるSnow Manがここまでの人気を獲得できたのは、彼らがその条件をしっかり満たしていたからではないだろうか。

 まず、メンバー一人ひとりを輝かせるための工夫。これにはジャニーズ事務所のネット解禁に合わせて2018年よりYouTubeにてジャニーズJr.チャンネルが開設されたことが大きい。Snow Manは同チャンネルの毎週水曜日を担当、2019年12月25日からはグループ単独チャンネルが開設され、現在もコンスタントに動画をアップしている。どの動画もメンバーそれぞれのキャラクター、グループの雰囲気を知ることができる上、9人いることで2人、3人、4人……と膨大な組み合わせでメンバーの関係性もアピールすることができる。一時的な少人数チームを動画内で作ることで個人にも目が向きやすい環境が整えられているのだ。

 さらに、Snow Manは9人が揃った場面で全員が輝くことができるのも特徴と言えるだろう。リーダーであり振付もこなす頼れる兄貴分、メンバー随一の肉体派にしてチョコレート好きな一面を持つ岩本照。進行を務めることが多いものの進行から離れたとたんに自由度が増す奥深い魅力の持ち主・深澤辰哉。メインボーカルで美容・筋トレなど自分磨きに余念がなくキレイ好き、愛されキャラの渡辺翔太。気象予報士資格を持つ秀才にして“あざとかわいい”を地でいく阿部亮平。愛称の“舘様”と誰もがつい呼んでしまう品格を持ち、抜群の間とワードセンスで笑いをさらう宮舘涼太。アニメ愛を惜しみなく表現し、いつでも弾ける笑顔と声で観る人にパワーを与える佐久間大介。笑いに貪欲、メンバーへの愛情が人一倍強いムードーメーカーの向井康二。俳優やモデルとしても活躍、クールな佇まいながらもグループに賭ける情熱をふいに覗かせる目黒蓮、18歳の最年少、幼さと圧倒的な存在感のギャップはあるものの、適応力の高さでコミュニケーションでは年の差を感じさせないラウール。

 誰一人として重ならない個性、はっきりとしたキャラクターを持ちながらもグループとしてまとまりがあるのは、全員が共通して優しさと思いやりの精神を持っているからこそ。また、深澤、岩本、阿部などいわゆる仕切り役となれるメンバーが複数存在しているのも良いのだろう。9人いれば存在が薄れてしまうメンバーが出てきてもおかしくないが、全員が楽しめるようそれぞれが自然な気配りができているため、そのようなことも起こらない。時にはお互いに思うことを言い合い、直すべき部分があればそれを指摘することもある。ふとした声かけやフォロー、言葉の随所に自然と表れる表層的ではない優しさと思いやりがSnow Manというグループの絆をより強固なものにし、多くのファンを魅了している。これは、デビューまでの道のりが長かった分、彼らが手にすることができたアドバンテージだ。

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