櫻坂46『流れ弾』はグループの様々な一面が濃縮されたシングルに 「ソニア」「美しきNervous」から考察

 発売日が近付くにつれて、続々と情報が公開されている櫻坂46の3rdシングル『流れ弾』。今作ではユニット曲やフォーメーションの三列目、いわゆる“BACKS”メンバーによる楽曲といった新しい試みも見られ、今まで以上に大きな期待が寄せられている。また今作は、表題曲の「流れ弾」や「Dead end」といった欅坂46時代のテイストを踏襲したような作品もあることから、楽曲自体にも今まで以上に力が入っていると話題だ。そんななか、9月26日にはTYPE-A収録の「ソニア」が『櫻坂46 こちら有楽町星空放送局』(ニッポン放送)にて、27日には通常盤収録の「美しきNervous」が『レコメン!』(文化放送)で初オンエアされた。この2曲についてそれぞれ注目してみたい。

 「ソニア」は、先述した通り“BACKS”メンバーによる歌唱楽曲で、BACKSとしての初のオリジナル曲となる。歌唱メンバーは計17名。サウンドには力強さと爽やかさがありつつ、どこか切なさも感じ取れる一曲だ。歌詞は、母親が付けていた口紅に憧れていた子供の頃から、大人になった今では好きな色を付けられるようになったその主人公の変化が描かれる。“ソニア”とは女性の名前だが、ある特定の人物についての私的な物語というよりは、多くの人がこの曲に心情を重ねられるよう、あえて普遍的な名前が用いられているようだ。

 放送で、この曲についてメンバーの松田里奈が「女の子が小さな頃だったり昔を思い出して、懐かしいなって思えたりするんじゃないかな」とコメントしていたように、幼少期に母が使っていた化粧道具に憧れるがあまり隠れて使っていたというのは、多くの女性が共感する話なのだろう。ちょうど先日、ロレアル パリのブランドアンバサダーに就任した小林由依が「ロレアル パリさんのこのオイルは、私が中学生の時に母が使っていたものをこっそりと使っていた憧れのオイルだった」とブログに書いていた(※1)。まさにメンバーのエピソードにもリンクしたこの曲は、特に女性の共感を得そうな一曲である。

 昨年改名し、一転して大人な雰囲気を漂わせるようになった櫻坂46。今作のアーティスト写真でも凛とした真っ赤な衣装を着こなしている姿が印象的だ。そういう意味では、成長した彼女たちを汲み取った歌詞とも言える。あるいは、この曲の〈似合う色を探すようになった〉という一節には、かつて〈選べることが大事なんだ〉と歌っていた同グループの姿勢が表れているようにも思える。いずれにしろ、何かに憧れていた幼い時期から“自分の色”を出していくステップへと成長しているメンバーたちの現在のモードが感じ取れる作品だ。

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