三代目 J SOUL BROTHERS History 第8回 〜Year 2019〜
三代目 J SOUL BROTHERSの10周年を振り返る 第8回:進化した7人が掲げた「RAISE THE FLAG」という名の新たな革命
アーティストでありながら、俳優・番組MC・モデル・ファッションデザイナー・プロゲーマー・プロデュース業など、マルチに活躍する7人組ダンス&ボーカルグループ、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE(以下、三代目 J SOUL BROTHERS)。2014年に発売したシングル『R.Y.U.S.E.I.』が大ヒットしたのを機に、今や国民的グループとして不動の地位を確立している彼らが、昨年11月10日にデビュー10周年を迎えた。そんな三代目 J SOUL BROTHERSのヒストリーを辿りながら、改めてその魅力を紐解くのが本連載だ。第8回は、2年ぶりとなるドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2019 “RAISE THE FLAG”』を開催した2019年の活動を振り返る。
EXILEも兼任するリーダーのEXILE NAOTOと小林直己を中心に、『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 2 ~夢を持った若者達へ~』から選出されたボーカルの今市隆二と登坂広臣、パフォーマーのELLY、山下健二郎、岩田剛典で結成された三代目 J SOUL BROTHERS。2010年9月18日に現メンバーが揃い、11月10日にシングル『Best Friend’s Girl』でメジャーデビューを果たした彼らは、7人の心を1つにして“三代目 J SOUL BROTHERS”を創り上げ、2014年6月、13thシングル『R.Y.U.S.E.I.』をきっかけに大ブレイク。老若男女、幅広い世代に愛される国民的アーティストへと進化を遂げた。その勢いは止まることを知らず、2015年にはアルバム『PLANET SEVEN』がミリオンヒット。初のドームツアー『三代目J Soul Brothers LIVE TOUR 2015 “BLUE PLANET”』に約120万人を動員し、彼らの人気が一過性のものではないことを証明した。
ソロ活動が活性化し、グループだけでなく、メンバー一人ひとりの注目度が上がった2018年。その年末、グループのSNSでは、12月24日から謎のカウントダウンが始まっていた。そして、メンバーの横顔の写真と共に徐々に減っていく数字に期待が高まる中、12月31日、メンバー達は『第69回NHK紅白歌合戦』にトップパッターで出場。「R.Y.U.S.E.I.」を披露した三代目 J Soul Brothers(旧表記)は、2019年1月1日0時、SNSアカウントにてティザー映像を公開した。
こちらはCGを駆使したストーリー性のある映像となっており、軍服に身を包み、勇ましい表情を見せるメンバーの姿が次々に映し出されると、最後にはリーダーの小林が地面にフラッグを打ち立てる。そこには、新たなグループロゴと“三代目 J SOUL BROTHERS”という新たな表記が、堂々と示されていた。改名には、ソロ活動を経てレベルアップした7人が再び集結し、ここからグループとして革命を起こしていくという意気込みが滲む。その第一歩として、4月13日の大阪公演を皮切りに、5大ドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2019 “RAISE THE FLAG”』を開催することを発表した。彼らがドームツアーを行うのは、93.7万人を動員した『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2017 "UNKNOWN METROPOLIZ"』以来2年ぶりのこと。ツアー前にはグループロゴを彩る赤、白、青にちなんだ楽曲をリリースしていくことも明かされ、まず3月13日には「青」をイメージした23rdシングル『Yes we are』がリリースされた。同作に収録された「RAISE THE FLAG」こそ前述したティザー映像で流れていた楽曲である。そのリリースに先立ち、3月10日に開催された全メンバー参加のイベント『三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「Yes we are」〜WORLDWIDE STREAMING〜』では、今市が「(『RAISE THE FLAG』は)今年の自分たちの活動を象徴するような曲になっています」とコメント。リーダーのNAOTOは、この先に続く“赤”をテーマにした24thシングル『SCARLET』(8月7日リリース)、“白”をテーマにした25thシングル『冬空 / White Wings』(12月11日リリース)を見据えて、「僕らの王道のポップスのラインを青の『Yes we are』で表現して。赤では海外のクリエイター、プロデューサーとタッグを組んで新しい曲を生み出していけたらと思っています。そして白はバラード。今までの曲で言うと『冬物語』や『花火』のようなラインですね」(※1)と語った。
その予告通り、第2弾シングルの表題曲「SCARLET feat. Afrojack」は、デヴィッド・ゲッタやアリアナ・グランデをはじめとする数々のアーティストの名曲をプロデュースしてきたことで知られるジョルジオ・タインフォートと、三代目 J SOUL BROTHERS「Summer Madness」や、登坂のソロプロジェクト曲を多数手掛ける世界的な音楽プロデューサー/DJのAfrojackが共同プロデュースした、中毒性の高いサマーアンセムとなった。だが、同曲のMVには、クールにきめたパフォーマンスシーンだけでなく、残念なミスをおかして女性にフラれる“カッコ悪い三代目”の演技シーンも。カッコいいだけではない、ユーモラスで人間味溢れる一面を見せると同時に、俳優として活躍するメンバーの演技力が光る作品に仕上がった。
一方、3部作のラストを飾る両A面シングル『冬空 / White Wings』では、それぞれの楽曲のMVに、同年6月に結婚を発表したEXILE AKIRA・林志玲夫妻が出演。2人の出演は、メンバーが直々に祝福を込めてオファーしたことから実現したもので、夫妻が演じる壮大なラブストーリーと、成熟した三代目 J SOUL BROTHERSの歌・パフォーマンスの融合が、唯一無二の世界観を創り上げている。ドームツアーの開催中に順次発表された対照的な2枚は、当時の三代目 J SOUL BROTHERSの振り幅を改めて示すものだが、それに加えて2014年に春夏秋冬シリーズと銘打ってリリースした『S.A.K.U.R.A.』『R.Y.U.S.E.I.』『C.O.S.M.O.S. ~秋桜~』『O.R.I.O.N.』から始まった彼らのサクセスストーリーも想起させた。