乃木坂46 大園桃子が芸能界を引退 「思い出ファースト」MVに刻まれた“アイドル”としての記憶

 乃木坂46の大園桃子が、9月4日をもってグループから卒業、芸能界を引退した。

乃木坂46『逃げ水』(Type A)

 8月22日開催の『真夏の全国ツアー2021』に行われた大園の卒業セレモニー。「5年間の活動を終えて、私は乃木坂46になることができました」ーーその言葉を聞いて、大園が乃木坂46として活動していたのは決して当たり前ではない、奇跡のような存在だったことを改めて痛感した。乃木坂46のことをよく知らないまま先輩の勧めでオーディションに応募した大園は、後のそのことを激しく後悔することなる。3期生の加入タイミングは、すでに乃木坂46も大きなグループへと成長しており、その大半のメンバーがアイドルというものに憧れを抱き、合格という2文字を目指してきた。大園を苦しめたのは、メンバーへの罪悪感とふいに聞こえてくる心ない罵声。きっと、卒業という考えは早くからあったのだろう。そんな大園を乃木坂46へと繋ぎ止めていたのは、同期の3期生をはじめとするメンバーだった。

 特に齋藤飛鳥は、先輩メンバーとして常に大園の近くにいる存在だった。2019年に公開されたドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』で、乃木坂46が「シンクロニシティ」にて2年連続の日本レコード大賞を受賞した際、大園が「なんか……乃木坂46も悪くないなって思った」と飛鳥に話しかけるシーン。その「も悪くない」という言い回しには、それまで大園が活動してきた上での乃木坂46のイメージがリアルに滲んでおり、飛鳥は大園に「乃木坂っていいな」と思わせられなかったことがずっと心残りだったと大粒の涙を零しながらセレモニーの場で打ち明ける。だからこそ大園が笑顔でいること、「乃木坂46になることができました」「乃木坂46が大好きです」と加入からの5年間で変わった自分を受け止められたことは、大園の飾らないひたむきな強さを、そして今の乃木坂46が纏う柔らかな空気感を体現している。

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