日向坂46 金村美玖のパフォーマンスはなぜ人を惹きつける? ”表現力の豊かさ"と“あざとかわいさ”のギャップ

 それから1年半後、今年7月の『W-KEYAKI FES. 2021』でも小坂が休業となり再び「青春の馬」で代理センターを務め、情熱的なパフォーマンスと、自信に満ち溢れた表情を披露し、心の成長を感じさせた。

 また冒頭でも触れたように、先日の『あざとくて何が悪いの?』で見せた振りが、完璧な“あざとかわいさ”で視聴者を魅了。リクエストに堂々と応えるバラエティ力の成長もさることながら、大人っぽさを演出できるようになったとも感じる。そして今回の「夏嵐」のMVでは、夏の切なさと疾走感を感じさせる楽曲に合わせ、誰もいない夏の学校で自由に踊り出す美しく情熱的なダンスを披露。プールに飛び込む無邪気な姿とは裏腹に、飛び込んだ後の大人っぽい表情は、どこか儚くクールだ。今の金村にしか演じることのできない、集大成的作品となったと感じる。

ジェニーハイ「夏嵐」

 金村がアイドルとして悩んでいた駆け出しの時期に的確なアドバイスをしていたのが、ジェニーハイのメンバーであり、日向坂46の冠番組『HINABINGO!』でMCを担当した小籔千豊だ。当時の金村は、周りのメンバーに負けじと頑張ろうとして空回りしていた時期で、番組で「いつもファンの人に空回りって言われて悔しいです」と涙を流し小藪に悩みを打ち明けたところ、小藪は「空回りしてもいいのよ。チャレンジ精神をむしろ長所にしたらいい」というアドバイスを送った。

 それ以降金村はバラエティだけでなく、パフォーマンスにも迷いが徐々に消えていったように思う。『HINABINGO!』シーズン1の最終回では、「小藪とやりたいツアー」という企画で、ドラムを始めた金村に小藪がテクニックを教え、最後はメンバーを交えてツインドラムで演奏するという感動的なフィナーレを迎えた。2年の時を経て、小藪がドラムを担当するジェニーハイのMVに金村が出演することは、ある意味かつての恩師に成長した姿を見せる恩返しのようで、実に金村らしいエモーショナルなエピソードと言えるだろう。

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