新譜連載「本日、フラゲ日!」
Official髭男dism、WANIMA、millennium parade × Belle……8月18日リリースより新譜5作をレビュー
細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』。映画に登場するインターネット仮想世界<U>のなかで、“Belle(ベル)”(主人公・すずのアバター)が歌う「U」(millennium parade × Belle)は、この作品のコンセプトを象徴する楽曲であると同時に、日本のポップミュージックの最前線を世界に伝える役目を背負っている。作詞・作曲は常田大希、歌唱はBelle/すずを演じた中村佳穂。現代音楽、ジャズ、アジアの民族音楽などを融合させたアレンジ、凄腕のミュージシャンたちによる高度な演奏、そして、〈さあ!踵を打ち鳴らせ/どうぞ心の踊る方へ〉というフレーズが共鳴し、圧倒的なカタルシスを生み出している。軸になっているのは、やはり中村佳穂の歌。溢れんばかりの生命力と的確な表現が共存するボーカルは、まさに圧巻だ。(森)
miwaが約1年ぶりとなるシングルをリリース。本作表題曲「神無-KANNA-」は、この秋公開の劇場オリジナルアニメーション映画『神在月のこども』の主題歌であり、自ら台本を読み、主人公の気持ちに寄り添えるようにとの想いを込めて描き下ろした楽曲。大正琴の調べが先導する和のテイストを取り入れたトラックは、曲が展開するにつれ徐々に奥行きを増し、聴く者の心を鼓舞するかのよう。そこに、〈誰かのために走るんじゃない〉〈進めと心が叫ぶから〉と強い意志をまとったmiwaの伸びやかな歌声が重なり、壮大な神話的世界を紡いでいく。困難の中、走り続ける人の背中を押す、miwaらしい応援歌だ。カップリングには同じく映画の劇中歌として使用されている「Daydream~在りし日の夢~」も収録。(渡部)
Tempalayのメンバーとしても活躍するシンガーソングライター兼トラックメイカーAAAMYYYによるフルアルバム第2弾。前作『BODY』より約2年半ぶりとなる本作では、ベース/キーボードのTENDREをはじめ、ギターのTondenhey(ODD Foot Works)、ドラムの澤村一平(SANABAGUN.)など、これまで彼女がサポートや客演で関わってきた面々が参加。うねるベースラインとシンセサイザーが独特の浮遊感を醸し出す「Leeloo」、ノスタルジックなサウンドにのせ大切な人との絆を歌う「HOME」などすでにリリースしている楽曲に加え、不規則なリズムと複雑なメロディラインが幻想的に響く「AFTER LIFE」など新曲を含む全10曲を収録する。独自の死生観を織り交ぜたワードセンスと繊細なトラックメイクをアンニュイなボーカルが包みこむ、唯一無二の音世界に浸りたい。(渡部)