King & Prince、3作連続アルバムチャート制覇 作品からこそ味わえる聴き手を飽きさせない楽曲群

 『Re:Sense』収録曲で目を引くものといえば、シングル曲であり近年ジャニーズ系のグループが注力している英語詞曲でもある「Magic Touch」や、アメリカのR&Bの大御所Babyfaceが提供したこちらも英語詞の「Namae Oshiete」あたりだろうか。特に後者、ビートにダイナミックさを残しつつも、全体としてはテンションを上げきらずにじわじわと高揚させていく手際はさすがだし、その焦らしがとても官能的だ。ボーカルにしても、分厚く重なったときの充実した質感も心地よいし、ソロのラインがサウンドのなかに的確に配置されて絡み合う様も聴いていて飽きない。コテコテの口説き文句が並ぶ詞にふと現れる〈Namae Oshiete(名前教えて)〉という日本語のフレーズが持つ絶妙な違和感もいい。

King & Prince「Magic Touch」YouTube Edit
King & Prince「Namae Oshiete」YouTube Edit

 しかし、「これはいい!」と一番力強く思ったのは、アルバム冒頭を飾る「僕らのGreat Journey」だった。1stアルバム『King & Prince』を取り上げたときにも「シンデレラガール」を評して似たようなことを言っているのだが、楽器の編成が大きくてとにかく情報量が多いにもかかわらず、がちゃがちゃしたところを感じさせず、巧みな緩急で聴かせるエレガントさ。ジャニーズ的にはお家芸といった曲調だろうが、この歯切れのよい16ビートのディスコ/ファンクチューンに、アルバムを再生した瞬間から惹き込まれてしまった。これを大きな音で浴びるように聴いたら素晴らしいだろう。

King & Prince「僕らのGreat Journey」YouTube Edit

 曲としての新鮮味で言ったら、イメージを覆す「今っぽい」曲(“音数が少ない”とか、"構成がシンプル”とか)や英語詞の曲のほうが語りがいがあるのかもしれないし、自分もどちらかと言えばそちらに興味が行きがちではある。そんな自分でも初聴きで惹きつけられるというのは、やはりここに独特な洗練がある故ではないか。一通り納得行くまで聴いたあと、やむにやまれず1曲目ばかりをリピートしながらそう思う。

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