THE SUPER FLYERS×SKY-HI×origami PRODUCTIONS 特別インタビュー “架空の音楽フェス”に詰まったコロナ禍への思い

THE SUPER FLYERS『Here, We Live』座談会

 SKY-HIのハウスバンドとして活動するTHE SUPER FLYERSが、初のオリジナルアルバム『Here, We Live』をリリースした。SKY-HIとも親交の深いorigami PRODUCTIONSのクリエイターチームと共同制作された本作は、「架空の音楽フェス」をテーマにアップテンポなディスコチューンから切ないバラード、さらにはSKY-HI自身の楽曲「リインカーネーション」のセルフカバーまで収録。フェス当日の朝から会場に向かう車の中、アフターパーティの様子まで、各シーンに寄り添うような仕上がりとなっている。

 そこで今回リアルサウンドでは本作の制作エピソードに迫るため、バンドのリーダー&ギタリストの田中“TAK”拓也、制作に関わったorigami PRODUCTIONSのKan SanoとNenashi、そしてエグゼクティブプロデューサーであるSKY-HIによる座談会を行った。奇しくもこの日は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021』の中止が発表された翌日。そのため、コロナ禍でのフェスのあり方や、今の日本の状況に関し「アーティスト」として思うことについても率直に話してもらった。(黒田隆憲)
※Nenashiの発言は英語を日本語に翻訳したもの

初アルバムは「東京で過ごした自分の半生の集大成」

ーーまずはTHE SUPER FLYERS結成の経緯から教えてもらえますか?

田中“TAK”拓也(以下、Tak):DJ Hirokingという、僕と日高(光啓/SKY-HI)くんの共通の知り合いから連絡があったんです。2014年に日高くんが、SKY-HI名義での1stアルバム『TRICKSTER』をリリースした後くらいだったと思うんですが、「バンドを入れたセッションビデオみたいなのを撮りたい」と。それで僕が知り合いのバンドを集めて4、5曲パフォーマンスする映像を撮影したのが最初の出会いですね。すでにその時点で日高くんから、「ホーンセクションを入れたい」とのリクエストがあったので、当時のメンバー編成も今のTHE SUPER FLYERSとほぼ一緒でした。

SKY-HI:当時、渋谷のJZ Bratでやっていた『Tokyo Soul Drive』というイベントが、まさに「なんでもござれ」という感じだったんです。僕はそこでホストMCをやっていたんですけど、出演するバンドのバイブスが本当に良くて。ダンサーは踊るしプレイヤーも飛び入りで参加したり、ブースの横でウッドベースを弾き出す人がいたりして、その空気感が自分にとっては理想形に近いなと。それで『Tokyo Soul Drive』を一緒にやっていたDJ Hirokingに相談して、Tokyo Soul Driveに出演していた方を中心に集めていただいたという経緯でした。

ーーその時の日高さんの印象は?

Tak:彼が所属しているAAAの存在は知っていたのですが、日高くん個人についてはほとんど知らなかったんです。オファーを受けて、事前にリサーチとかするのはやめてとりあえず会ってみようと(笑)。セッションしてみればどんな人なのか大体分かるし、日高くんにも会って第一印象で判断してもらえばいいだろう、と。実際に会ってみたら、とにかく音楽性が幅広く、要求されるレベルも非常に高かったので、それに対応できるメンバーを揃えないと難しいだろうなと思いましたね。しかも、彼となるべく同年代のプレイヤーにしようと。僕だけダントツ年上なんですが(笑)。

ーーそうして結成されたTHE SUPER FLYERSのオリジナルアルバムを、このタイミングでリリースしようと思ったのは?

Tak:コロナ禍になって、リモートで色々話をしていた時に「架空のフェスを想定したアルバムをTHE SUPER FLYERSで作ったら面白いんじゃないか?」というアイデアが日高くんからもらったんです。朝起きて家を出て、車で会場について昼から盛り上がって……みたいな、シーンごとのBGMじゃないですけど、フェスの1日をそのまま曲で表現したらどうだろう?と。

SKY-HI:そう、なので曲タイトルも全て時刻だけ入れるというのも面白いかなと思ったんですよ。分かりづらいのでやめましたけど(笑)。

ーーコロナ禍でなかなかフェスに行くことが出来ないリスナーに、フェスを疑似体験してもらいたいという気持ちもありましたか?

SKY-HI:それももちろんありました。それに僕らの方も、こういう機会がないと短期間でまとまった曲を書いてレコーディングする、みたいな機会もなかなか取れないな思ったんですよね。「渡りに船」とまでは言わないけど、この状況を逆手にとってやろうという気持ちもありました。

ーー今回、共同制作者としてorigami PRODUCTIONSのメンバーに全面的に参加してもらうことにしたのは?

SKY-HI:いちばんの理由は「体温」なのかなと思います。打ち込みと生のバランスというか、それがすごく人肌に近いものをorigamiのサウンドからは感じるんですよね、36.5度くらいかな(笑)。それが今回欲しかった。

ーーそのアイデアを聴いて田中さんはどう思いました?

田中:最初はびっくりしましたし、「夢みたいな話だな」と思いましたね(笑)。でもorigamiのレーベルヘッドである対馬(芳昭)さんは、僕がビクター(エンタテインメント)にいた頃からずっとお世話になっていた人なんですよ。origami PRODUCTIONS黎明期にいた人たちとは今でも親交があるし、対馬さんとも節目節目で会って話すなどしていて。今回一緒に作業をさせていただいたプロデューサーの方たちとも、以前ライブハウスで対バンしたり制作を一緒にしたりしたこともあったんですね。今回、日高くんの旗振りのもとでまたこうして集まれたのは、東京で過ごした自分の半生の集大成みたいな感じがして、ちょっと感慨深い気持ちもありましたし、どんな作品が出来上がるだろうというワクワク感もありました。

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