さくらしめじ、パフォーマンスを通じて見せた2人の“ロックスピリッツ” 『ゼップでロッ菌!』TRACK1レポ

さくらしめじが見せた“ロックスピリッツ”

 7月18日、Zepp DiverCity。4月4日の中野サンプラザ公演以来、約3カ月ぶりとなるワンマンライブ『さくらしめじのゼップでロッ菌!』が昼夜2部構成で開催された。思えば昨年の夏に予定されていたZepp Tokyoでのライブが新型コロナウイルス感染拡大の影響によって中止になっていたため、さくらしめじにとっては念願のZeppライブであったはず。しかも今回は、ライブタイトルが示す通り、フォークデュオである彼らが“ロック”をテーマにライブを行うという。果たしてどんな姿を見せてくれるのか? 期待に胸を躍らせながら“TRACK1”と題された昼公演に足を運んだ。

 バンドを従え、ステージ上に現れた髙田彪我と田中雅功は共にエレキギターを抱えている。1曲目は「青春の唄」。高らかに鳴らされるギターロックに、オーディエンスたちは総立ちとなって大きな盛り上がりを見せていく。思春期のイライラをぶつけた「でぃすとーしょん」では、雅功が客席を激しく煽る。彪我が作詞・作曲を手掛けた「たけのこミサイル」は、いつも以上に勢いと熱量を増し、荒ぶるボーカルが炸裂する。続く4曲目には、RADWIMPS「会心の一撃」のカバーを。ハンドマイクでステージ上を自由に動きながら声を飛ばす雅功と、テクニカルな速弾きを織り交ぜる彪我のギタープレイが圧倒的なシーンを作り上げた。

 最初のMCでは、この日のために金髪にしていた雅功の話題に。

「ツッコんでいい? え、誰ですか?」(彪我)

「誰かわかんないヤツとステージ立ってたの? 一昨日、(髪)染めたの。2回ブリーチした。あー、(彪我は)染めたことないからわかんないかー(笑)」(雅功)

「黒(髪)しか勝たん!」(彪我)

 そんなほほえましいやり取りはいつものさくらしめじらしいところだが、雅功の金髪や荒々しい煽りをはじめ、この日の2人からはいつもとは違った表情が随所に感じられた。ロックなアレンジが施された「朝が来る前に」で響いたエモーショナルなボーカルは、まさにロックなさくらしめじを鮮やかに伝え、曲に込められたメッセージがより力強く胸に迫ってきたのが印象的。また、軽快な「スタートダッシュ」では彪我がエレキ、雅功がアコギを持ち、デビューから7年を経た2人の間にある今の呼吸感をしっかりと伝え、さらにそこにはデュオとしての新たな可能性をも感じさせてくれていたようにも思う。

 「先に言うね」では力強さと繊細な表現を同居させたボーカルを披露、「あやまリズム」では親しみのある演奏と歌唱で観客との距離をグッと縮め、クラップでの一体感をも生み出した。そして、ソカのリズムがカラダを突き動かす「Bun! Bun! BuuuN!」では、ギターを下ろした2人の先導によって、観客はサイリウムを大きく振り回し、様々な色の光で会場を包み込んだ。

 2度目のMCでは、雅功がさくらしめじにとってのロックの定義を語り始める。

「“さくらしめじがロック⁉”って思ってる方もいらっしゃると思うんですけど、ロックは心の在り方だと思うんですよ。これだけ激しい曲をやってますけど、僕らは中学1年生の頃から変わらずフォークデュオなんです。ってことは僕らがフォークだって言ったらこれはフォークになるんだと。逆も然りで、僕らがこれをロックだと言って、みんながロックだと思えばその曲は、このライブは全部ロックになるんです。だから、このライブを作ってるのは僕らの音じゃなくて、みなさんと僕たちの気持ちなんです!」(雅功)

 そんな言葉を受け、次のパートで披露されたのはひらめとのコラボによって生まれた女性目線のラブソング「ストーリーズ」と、大人っぽさを感じさせるR&Bナンバー「別れた後に僕が思うこと」。アコギで歌われた2曲はどちらも感情の機微を伝える彼らのあたたかくせつない歌心を感じさせるものであったが、たっぷりの思いをギターと声に乗せて聴き手の心を真っ直ぐに突き刺していくパフォーマンスには、さくらしめじならではのロックスピリットが宿っていたように思う。

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