平手友梨奈「かけがえのない世界」はアイドルファンの心理を表した曲? 攻撃的な歌詞やパフォーマンスに感じた“呪縛”からの解放

 欅坂46脱退後としては、1stデジタルシングル「ダンスの理由」に続く2作目のソロ曲であるが、「ダンスの理由」は、自分がなぜ踊るのか、なぜ表現する側として活動を続けるのかという彼女の芯の部分を歌っていた。

 対して、今作は上記のような社会風刺的側面が強く、“そういう時代”に対峙しようとするアティチュードの要素が色濃い。ただし、彼女自身も“そういう場所”で活動してきた出自の持ち主であって、入り組んだ構造を持つ楽曲であることを忘れてはならない。まさに彼女こそ“そういう時代”のアイコン的存在であったわけだ。

 放送では、ラストサビの直前で大きく叫ぶ瞬間があった。彼女の自我が最も強く表出していたあのシーンは、自分自身に纏わりつく“呪縛”を振り払っているようでなかなかのカタルシスがあった。いくつかの映画やドラマ出演を経た今、彼女は過去の強烈な否定と脱皮の最中にいる。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi/https://twitter.com/az_ogi)

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