BTS、「Permission to Dance」で伝える“繋がっている”という希望 紫色の風船が象徴的なMVから感じたこと
後半、西部開拓時代のカウボーイを連想させる衣装には、母国のみならず新たな地で挑戦を続ける彼らを象徴しているようにも見える。この楽曲に、英シンガーソングライターのエド・シーラン、英出身プロデューサーのスティーブ・マックらが曲制作に参加したというのも、世界との繋がりを感じさせるものだ。
そんな国を越えて生まれた楽曲に合わせて、彼らが踊るのは国際手話を取り入れたダンス。親指を伸ばした両手を胸の前で上下させるのは「楽しい」、手のひらを舞台に見立て人差し指と中指を動かすのは「踊る(ダンス)」、そして両手でVを作るのは「平和」という意味なのだという。このMVを見た各国の老若男女が〈Da na na na na na na〉と口付さみながら、踊る姿が目に浮かぶではないか。
たとえ言語が違っても、交わらないと絶望しても、人と人とが繋がる方法(希望)はきっとある。まさに「We don’t need permission to dance(私たちがダンスをするのに許可はいらない)」。きっと共通言語を持っていない人たちが「はじめまして」となったとしても、この音楽が流れ思い思いにダンスをすれば、それだけで打ち解けられるような気がする。この楽曲は、この世界を平和にするひとつのアンサーだ。
未知のウイルスとの戦いで思うような活動ができない日々がまだまだ続く。BTSもその当事者でもある。それでも、今できることを発信し続けていく。7月9日には『A Butterful Getaway with BTS』にて初パフォーマンスを披露。トーク部分では、この曲の持つイメージを「enjoy」「キャンプファイヤー」「自由」……と表現していた彼ら。JIMINが最後に「ダンスだけは誰でも気の向くままに楽しむことができる。ただ踊ればいいです」と笑顔で解説してくれた。
ライブでARMY(ファン)直接届けたいという思いを噛み締めながらも、円形のスペースで周りをぐるりとダンサーが囲み、MVのラストを思わせる力強くも熱いステージを見せてくれたBTS。MV、オンエア、そしていつか行なわれるはずのライブ。ここにも「繋がっている」というメッセージを感じずにはいられない。
どんな環境にも屈しないBTSの明るく縛られない心が、この楽曲の開放感を増している。その強い志に、温かなメッセージに、胸が熱くなる思いだ。やがて来る、世界中の人がマスクを外して、笑い合ったり、キスができる日まで。このMVが私たちを支えてくれることだろう。