BTS、「Butter」で体現した曲作りへのアティチュード 変幻自在ぶりを可能にするメンバーの魅力

 日本時間で5月21日の13時、BTSのニューシングル「Butter」がリリースされた。アメリカビルボードチャートのBillboard100で1位に輝いた「Dynamite」以降2曲目となるシングル英語楽曲ということで注目度も高く、YouTubeで公開されたMVは史上最短で1億再生を達成した。

BTS (방탄소년단) ‘Butter’ Official MV
BTS「Butter」
BTS「Butter」

 今回もレトロなディスコベースのパートはあるが、夏を意識したようなシンセファンクや浮遊感のあるトロピカルで80’sな雰囲気も感じられる。制作陣はハリー・スタイルズ「She」をプロデュースしていたColumbia Record(BTSのアメリカでの所属レーベル)のCEO、ロン・ペリーを筆頭に、BLACKPINK「Love To Hate Me」、MONSTA X「GOT MY NUMBER」といったK-POPアイドルの英語曲やティーンリスナー向け楽曲を多く手掛けているロブ・グリマルディ等、英語圏の作詞作曲家・プロデューサーに加えてリーダーのRMも参加している。今回もいわゆる「日本語オリジナル楽曲」と似た制作スタイルだ。

 歌詞を見ると、歌い出しからマイケル・ジャクソンの「スムース・クリミナル」をリファレンスした〈Smooth like butter/Like a criminal undercover〉から始まり、2ヴァース目のUsher「U Got It Bad」をリファレンスした〈Don’t need no Usher/To remind me you got it bad〉、Queen「We Will Rock You」を思わせる〈We gon’ make you rock〉(本人たちは関連性を否定していたが、ティーザーがリリースされた後には印象的なイントロから「Another One Bites The Butter」というミームも生まれていた)など、ポップミュージックのスターアーティスト達が織り込まれていたり、SUGAパートの〈Ice on my wrist, I’m the nice guy〉など過去の楽曲リスナーに目配せするようなパートや〈Got ARMY right behind us when we say so〉のようにファンダムであるARMYに直接呼びかけるような歌詞はあるものの(SUGAはデビュー前から高級腕時計に言及するリリックを定期的に書いている)、全体的には「ライトな欧米のポップソング」を具現化したような内容だ。過去にK-POPの文脈上で「BTSが熱狂的な人気を得た理由」として語られがちだった「歌詞で社会問題やプロテストを表現」というような印象からは対極と言えるほどの乖離が、今回の「Butter」に限らず前回の「Dynamite」と合わせたアメリカ活動では見られる。しかし、その「本国活動でのイメージからは乖離した表現」であることこそが、BTSというグループが表現しつづけてきた本質を表現しているようにも思える。

 2021年現在、BTSの「活動」ベースは、「韓国」「日本」「アメリカ(欧米圏)」の大きく3つと言えるだろう。そして、各国でリリースされた楽曲をそれぞれ聴き比べてみると、そこにはひとつの明確な意志が感じ取れる。それは、「その国の言語で歌う」だけではなく、それぞれの国の大衆がイメージする「アイドル像」「ポップミュージック」というものを、出来るだけ忠実に表現しようとしているということだ。



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