和楽器バンド、個性の“尊重”から生まれる柔軟な制作スタイル 円満な活動の秘訣やJ-POPシーンへ向けた作品作りを聞く

 和楽器バンド(WGB)が新作『Starlight』E.P.をリリースした。「Starlight」(フジテレビ系月9ドラマ 『イチケイのカラス』主題歌)、「生命のアリア」(TVアニメ『MARS RED』オープニングテーマ曲)を含む全4曲を収録した本作は、和楽器バンドの新たな表現と“らしさ”をバランスよく共存させた作品。ポップスとして強度の高さもこの作品の魅力だ。

 リアルサウンドでは、鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gt/Vo)、黒流(和太鼓)、神永大輔(尺八)、亜沙(Ba)にインタビュー。『Starlight』E.P.の制作、バンドに対する姿勢などについて語り合ってもらった。(森朋之)【インタビュー最終ページに読者プレゼント有り】

「ライブを止めてはいけない」大規模公演開催の背景にある“覚悟”

和楽器バンド(左から亜沙(Ba)、神永大輔(尺八)、鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gt)、黒流(和太鼓))

ーー和楽器バンドは今年1月3日、4日に日本武道館で新年恒例の『大新年会 2021 日本武道館2days〜アマノイワト〜』を開催。昨年8月の横浜アリーナ公演(『和楽器バンド 真夏の大新年会 2020 横浜アリーナ〜天球の架け橋〜』)に続き、コロナ禍における大規模ライブを成功させましたが、手ごたえはどうでしたか?

鈴華ゆう子(以下、鈴華):お正月の時期でしたし、“大新年会”と銘打つにふさわしいライブになったと思います。去年の『大新年会 2020』(2月29日・3月1日に両国国技館で予定されていた『和楽器バンド 大新年会 2020 両国国技館 2days〜天球の架け橋〜』)は中止になってしまったので、今年はどうしてもやりたくて。去年の夏の横浜アリーナ公演は、コロナ禍になって以降、日本で初めて行われたアリーナクラスのライブで、私たちにとってもチャレンジだったんです。それを踏まえて、スタッフのみなさん、ファンのみんなにも柔軟にご対応いただきながら、『大新年会 2021』を行えたのはすごくよかったなと。「Wagakki & EDM Session -春の海 Remix-」という、このバンドならではの演目も披露できたし。

神永大輔(以下、神永):和楽器バンドはコロナ禍以降も、比較的、有観客でのライブを続けていて。『大新年会2021』でも、みんなが集まって、その場を共有することの大切さを実感しましたね。もちろん声は出せないんですが、ペンライトを振ったり、いろいろな形でコミュニケーションを取り合って。皆さんの前で演奏するのも楽しいし、しっかり“場”を作れたかなと。

和楽器バンド LIVE Blu-ray「大新年会2021 日本武道館 ~アマノイワト~」ダイジェスト

亜沙:まずは無事にやれてよかったと思ってます。タイミング的にもう少し遅かったら、緊急事態宣言でやれなかったかもしれないので。去年はほとんどライブができなかったけど、お客さんが集まってくれて、楽しんでる姿を見ると、「楽しみにしてくれた人がこれだけいたんだな」と実感できて。いろいろ制限されるなか、ストレスもあるじゃないですか。俺も旅行できないのはすごくストレスなんだけど(笑)、和楽器バンドのライブを求めてくれる人に対して、応えられたのはよかったと思いますね。

鈴華:配信ライブとは全然違うよね。お客さんがいて、エネルギーの交換が行われているのを改めて感じられて。

亜沙:うん。配信もいいものだけど、ライブは生で楽しむものなので。

黒流:去年の横浜アリーナのライブの準備が、とても大変だったんです。告知のタイミングからリハ、本番当日まで、大勢のスタッフが身を挺すように準備をしてくれて。みなさんから覚悟、決意を感じていましたし、それにどう応えるかは僕ら次第だなと。いろいろな制限がありますが、内容を削るのではなく、今だからできる演出を考えてーーたとえばスマホの撮影をOKにしたり、声の代わりにハリセンで音を出してもらったりーーみなさんにも楽しんでもらえたんじゃないかと思っています。ファンの方々の「ライブに行けなくて寂しい」という声も届いていました。今後、以前のように楽しめる状況になることを願っていますし、それまでライブを止めちゃいけないと思ってます。

町屋:『大新年会2021』に関して、今年はちゃんとお正月にできたし、あの状況のなかでやれることはやれたと思います。日本武道館の規模としては最大級に豪華なセットが組めたし、お客さんにも楽しんでもらえて、後日、「感染者ゼロでした」という報告もできて。とても有意義な時間だったと思いますね。

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