WGB=和楽器バンドはなぜ正体を隠していた? 月9ドラマ『イチケイのカラス』主題歌制作の真相を聞いた

和楽器バンド、月9主題歌で名前を伏せた意図

 月9ドラマ『イチケイのカラス』主題歌「Starlight」を歌う謎のアーティスト、WGBの正体が和楽器バンドであることが明かされた。第1話放送時のSNSでは、正体を予想する声や和楽器バンドと見抜くファン、はたまたドラマ出演者の黒木華ではないかなど、様々な憶測を呼び話題に。

 リアルサウンドでは、放送タイミングにあわせてWGBにまつわる記事を掲載したが、今回正体を明かしたタイミングでインタビューの機会を得た。正体を隠していた理由をはじめ、月9主題歌「Starlight」の制作エピソードについて、鈴華ゆう子と町屋に話を聞いた(編集部)

バンド名のイメージを抜きに純粋に音楽を聴いてほしい

WGB (和楽器バンド) / Starlight (※フジテレビ系“月9”ドラマ「イチケイのカラス」主題歌)

――フジテレビ月9ドラマ『イチケイのカラス』の主題歌を歌うWGBが和楽器バンドであることが第4話放送前に発表されましたね。このタイミングでの公表の背景と、これまでバンド名を伏せていた意図をまず聞かせていただけますか?

鈴華ゆう子(以下、鈴華):楽曲がクライマックスで流れてくることが浸透するのに3話ぐらいまではかかるだろうということで、このタイミングで「WGB=和楽器バンド」というのを提示しようという感じでしたね。そもそも和楽器バンドというバンド名自体が、あえてインパクトを狙って付けているということもあり、「和楽器バンド」と聞いただけで、「あのビジュアルで、ああいう曲で、ああいうメンバーの人たちでしょ?」というイメージが、たぶんドラマの内容や楽曲よりも先にバッと印象が付くのではと思ったんです。それがマイナスに働くこともあるし、プラスに働くこともたくさんありましたが、今回はあえて伏せた方がドラマにスッと入っていけて、よりプラスかなと思ったんです。

町屋:名前を伏せることで、バンド名から連想される初見のイメージを払拭して、純粋に楽曲を聴いていただきたい、という気持ちからこういう形になりました。どのアーティストだから、とか関係なく、フラットに音楽を聴いていただけるという意味で、恵まれた環境でやらせていただけたなと思っています。

――当初は、謎のアーティスト・WGBとしてSNSでも話題になりました。

鈴華:気づく人は気づいているし、全然気づかない人は気づかないんだなって。ファンでも私の声なのか疑っている人もまだまだいるんだなと思って、そこは意外でした。名前を伏せているとこんなに気づかれないものなんだなって。実はWGBって、バンド初期からあった愛称で、“WGB”というロゴのグッズも作っていますし(笑)。でも、気づいているファンは、あえて空気を読んで私にリプしてこないでいてくれたりして(笑)。静かに発表を待つというのを貫いていて、なんて素敵なファンなんだろうって思ってました。

町屋:いやー、やっぱり知ってる人にはバレるよねーとは思いましたね(笑)。個人的には隠したかったんですけどね。さすがに各楽器ともクセの強いメンバーでやってるので、限界はありますよ(笑)。

――「ドラマに出演している黒木華さんが歌っているのでは?」というコメントもありましたね。

鈴華:「黒木華さんってどんな歌声だったっけ?」と思って調べたんです。私の声とは全然違うけど、「華ちゃんが歌ったらそれも面白いだろうな」って。みんなの反応を自分も一緒に楽しんでいました(笑)。

――最初からアーティスト名を明かさない方向で主題歌の制作に入ったんですか?

鈴華:いえ、その時点では全くそういったことはなかったんです。最終的に「Starlight」に決まった時、この曲に関して「世間一般でいう和楽器バンドらしさというところとはちょっと離れているかもしれないよね」という思いがあって。それでこの話が浮上したんです。

――ちなみに、月9主題歌を手がけるということに対してはどんなお気持ちでした?

鈴華:私たちは世代的に月9で育ってるようなものなので、メンバーはみんな感謝しているし、喜んでいると思います。私も月9はよく観ていましたし、「やまとなでしこ」でMISIAさんの主題歌「Everything」を聴いて、「ああいう歌手になりたい」って思ったというのもあります。「そんな私たちが月9の主題歌をやるんだ」という不思議な感覚でしたね。

――実際の楽曲制作はどのような流れで進められたんでしょうか。

町屋:制作に関しては原作(漫画)や台本を読みあさって、世界観を身体に染み込ませてたくさん思考しました。いろいろな側面を切り取って50曲ほど書き下ろし、最終的には、ドラマの世界観に最も花を添えられる選りすぐりの1曲を選定したという感じです。

――ドラマサイドとは具体的にどんなやりとりを?

鈴華:最初は、例えば和楽器バンドらしい日本の言葉が入って、美しい風景を描いているような曲をやってみてほしいとか、その次には、劇中のセリフと重なってもどっちの言葉もよく聞こえるように、英詞をふんだんに使ったものも聴いてみたい、とか。そういう要望を聞きながら、「じゃあちょっと仮歌を歌ってみようか」となった時に、私なりに歌い方を変化させてみたり。

町屋:そうやって何度か打ち合わせもさせていただきつつ、最終的にドラマサイドから提示されたコンセプトが、劇中において、坂間千鶴(黒木華)が入間みちお(竹野内豊)にインスパイアされていく、という心境の変化だったので、それを歌詞と音に乗せるという点ではかなり試行錯誤しました。でも、締め切りのギリギリになって自分の中の世界が一気に広がって、一筋の光が見えたんです。言葉にするのは難しいんですけど、そのイメージを発展させた形になりましたね。

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