和楽器バンド×服部隆之、月9ドラマ『イチケイのカラス』音楽対談 主題歌と劇伴、制作の舞台裏を語る

WGB×服部隆之『イチケイのカラス』対談

 竹野内 豊が主演を務める月9ドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系)が6月14日に最終回を迎える。

『TOKYO SPEAKEASY』(Tokyo FM)
『TOKYO SPEAKEASY』(TOKYO FM)

 そのドラマに音楽面から華を添えているのがWGBこと和楽器バンドの主題歌「Starlight」、そして月9ドラマ『HERO』(フジテレビ系)や『半沢直樹』(TBS系)、大河ドラマ『新選組!』(NHK総合)など数々の劇中音楽を手がけてきた作曲家・服部隆之による劇伴だ。6月9日放送の『TOKYO SPEAKEASY』(TOKYO FM)では、最終回を前に和楽器バンドからボーカルの鈴華ゆう子とギター&ボーカルの町屋、さらに服部が初対面を果たした。

“和楽器バンドらしさ”をあえて消した主題歌制作

町家

 今回、第3話までグループ名を「WGB」として主題歌が和楽器バンドであることを伏せていたことでも話題の楽曲「Starlight」。そこには名前を伏せることで純粋に楽曲を聴いてほしいという思いが込められているのだが、楽曲自体についても鈴華は「和楽器バンドらしさをあえて出していない。詩吟の歌い方も出していないし」と語る。それは劇中歌としてセリフの上に乗ることを想定してのものだ。そして、一番のポイントは打ち込みサウンドが主体となっていること。和楽器バンドの新しい切り口を感じさせる楽曲であるが、「Starlight」を聴いて服部は「和のメロディを感じさせるのがいい」と一言。これには町屋も「和から離れようと思って作ったんですが、出ちゃったんだと思います(笑)」と、和楽器の旋律が服部の言う「血となり肉となり」として浸透していることを認めていた。

 町屋は自身が作詞・作曲した「Starlight」について「一番最初に書いた曲から跡形もないくらいに変わった」と明かす。10カ月間にわたり、50回以上書き直し続け、歌詞に至ってはオーダーを受け英詞を当ててみたり、日本語と半々にしてみたり。1年近くに及ぶ制作期間を町屋は「ありがたい機会だった」と振り返り、鈴華も「(ドラマの世界観を)壊さないように歌った」とコメントしていた。

鈴華ゆう子

 鈴華にとって服部はこれまで観てきた数々のドラマの劇伴を担当してきた憧れの人であり、音楽家としてクラシックを学んできた共通の部分もある。25曲ある劇伴をドラマのワンシーンを思い浮かべながら大切に聴いている鈴華は「多国籍感だったり、アイリッシュやジャズの要素、ラフマニノフを思わせる曲もある」と嬉しそうに話す。実際にオンエアでも流れた「イチケイのカラス」は、ズンズンと刻むチェロの音色やシンセサイザーのエッセンス、さらに口笛を加工したサウンドも使われている。そして、竹野内豊が演じる裁判官の名前「入間みちお」がそのまま付けられた楽曲は「イチケイのカラス」と使用する楽器を変えたバリエーション違いだという。

 入間の名ゼリフ「職権を発動します」を始めとした難しい法律用語が多く使われる『イチケイのカラス』において、制作側から服部に求められたのは「視聴者が肩の力を抜く手伝いをしてください」ということだった。そのため、劇伴の中には“だらしなさ”を感じさせるコミカルな楽曲も含まれている。さらに鈴華が劇伴から感じた「昔見ていた未来」というイメージに服部が大きく共感。ロマンチックなシンセサイザーの音色やアイリッシュ的な雰囲気は服部の好きな世界観だったという。

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